人生のおつまみ

好きなことを基本的にはコラム形式で書いています。スポーツ、アニメ、書籍、産業をネタにしています。

【読書・感想】『週末陰陽師~とある保険営業のお祓い日報~ 遠藤 遼』ー保険営業と人助けがメインな話

陰陽師を題材にした小説で、面白かった。主人公の小笠原真備、姉弟子の御子神ゆかり、式神の梨華、そして、女子大生の二条桜子がメインの登場人物として動いていきます。陰陽師をテーマとしたマンガや小説もありますけど、バトルがメインではなくて、営業の仕事をメインとして、人を助けていくという展開になっているので、スラスラ読むことができます。陰陽師の時と営業マンの時の真備のキャラが違うので、そこも魅力の一つだと思います。

小説の本編前に、登場人物の絵があるんですけど、かなり分かりやすくなっているので、この試みは続けてほしいなと思いました。真備は頼り無さげながらもかっこ良く、ゆかりはクールビューティーで、桜子は可愛いので、イメージを作るにはピッタリ。読んでいる途中でも、登場人物を改めて確認する時には多いに役立ちました。小説の登場人物が多くなると、キャラのイメージが抜けてしまうことがあるんで、ミステリでも参考にしてほしい。

ただ、この作品にも言えることなんですけど、表紙にメインキャラが描かれているからこそできるわけで、濃厚な本格ミステリだと難しいとは思います。ライトノベル寄りな作品がかなり増えている現在だからこそ、できる技かと。私は、キャラクターをアニメやマンガのように描いてもいいと思います。読んでいるうちに変わってきますし、最初のアクションとして、キャラをアニメ風に具現化させてもいい。その方が分かりやすいです。

この作品も『小説家になろう』に掲載されたいた作品のようで、分かりやすくスラスラ読めるのはいいですね。本格ミステリもいいですけど、身近な出来事をテーマにした作品は想像しやすくて、ストレスが溜まりにくい。陰陽師よりも、営業マンの日常の側面が強いので共感できる人も多いと思います。上手いこと、二つの職業をミックスさせた感じがして、ギャップを感じながら読めるのがいいなあと思いました。


営業の仕事、しかも保険の仕事って大変だと感じたのが素直な感想です。結構リアルに描かれていて、もちろんオブラートには包んでいるんでしょうけど、保険の仕事という仕事の側面を見れたのは興味深かった。カフェなどで保険の営業の方が必死に話しているのを思い出しました。登場人物のゆかりはかなり有能なんですけど、真備はいい人過ぎてお客さんを逃がしてしまうタイプですね。人が良すぎて、押し切れないタイプ。

主人公がいい人過ぎるというのは、小説などでよくあることなんですけど、陰陽師になると途端にかっこ良くなるという設定はやはり最高です。男性からしたら、そのギャップが理想で、普段は弱いけど、いざとなると強くなる。ドラマやアニメでも散見されるキャラですが、まさに王道です。桜子との関係も友達というよりは、幼馴染みに近い関係で、見ていてほんわかしていました。真備とゆかりの姉弟子の関係も、適度な上下関係があって、面白かった。


一番気になったのは、陰陽師にも政治力が必要だということ。真備は抜群の力を持つ陰陽師なんですけど、政治的には素人で、罠に嵌ってしまって、陰陽師の世界から追放されてしまいます。あくまで善意の人助けとして、作品の中で活躍している。どんなに力を持っていても、政治的なかけひきができないと成功できないというのはどの世界でも一緒だと思います。いい人だけだと他人に利用されてしまいますし、自分のエゴを出さないと人生上手くいかない。

抜群の力を持ってはいるけど、社会的にはそれほど力がない。自分に出来ることをするという意味では、真備の態度は正しい。だけど、真備にはもっと上に立つ力があるんだから、トップを目指してほしかった。この点はゆかりも言及していて、トップに立てる力があるんだったら、それを行使したほうがいいとは思います。それだけの力を持っている人は世間的に見たら少ないわけなんで。


この作品は、ジャケット買い、表紙で買ってしまうこともあると思います。可愛いタッチで登場人物が描かれているので、読んでみたくなります。保険の営業と陰陽師という、二つの職業を合わせ持った主人公の真備が、ゆかりや梨華と一緒に物事を解決していく。そして、そこに桜子も絡んでいって、物語が収束していく。読みやすいのでオススメです。バトルも少し出てきますけど、キャラの内面、過去にポイントを当てている作品なので、完全バトル物とは違います。

それにしても、登場人物全員がいい人過ぎるとは思いました。真備とゆかりの上司はともかく、主要な人物がいい人すぎて、ちょっと違和感はありました。ゆかりはもうちょっと黒くてもいいかなとか。でも、真備の過去に黒い人物が出てきているので、続編が出るとしたらその人と対峙するんでしょう。純粋でいい人が、黒い人と戦うことで、全員が良い方向に向かっていく。そんなストーリーだったらいいですね。

 

【書評・感想】『オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎』ー伊坂さんのデビュー作で、不思議な島の話

伊坂さんのデビュー作。ある独特な環境での島での物語。日本の法律があまり通用しない、日本ではない島。ある事件から逃げこんだ主人公が島の住人と不思議な出来事を通じて、物語が進んでいきます。不思議なカカシや銃を持つ桜が非常に大きなポイントになっています。

 

未来が見えるカカシがなぜ殺されてしまったのかが謎になっています。しかも人の言葉を話せるので、主人公など多くの島民がカカシを頼っている。かなり不思議なストーリーで、内容も深かった。伊坂らしく、残酷な描写が出てきます。

 

ただ、人によっては桜に嫌悪感も持つかもしれません。自分のルールで、「理由になってない」という言葉とともに人を撃つ怖いキャラクター。終盤では、主人公を陥れた残忍な人物と出会いますが、伏線も相まって勧善懲悪的な印象も受けます。カカシと桜という、二人のキャラが物語を引っ張っていました。

 

伊坂さんのデビュー作ですが、伏線の散らばり方が見事で、ラストで一気に回収していきます。とても心地よくて、ここに伊坂イズムが集約されています。伊坂さんの小説が好きなら、是非読んでほしい一冊。450ページ超えで分厚いですが、一気に読むことができます。

 

【書評・感想】『ビブリア古書堂の事件手帖 三上延』ーヒロインの栞子さんは将来母親と同じ道を歩みそう

鎌倉にある古書店が舞台の小説です。美人の店主とアルバイトの主人公が古書を題材にして、物語が進んでいきます。ヒロインの栞子さんは可愛いのですが、本に関しては強烈なマニアなので、そのギャップに驚きました。

 

栞子さんの母親も後々に出てきますけど、栞子さんと真逆で、押しが強くて自分の望みを優先させるため、少し不愉快になります。だからこそ、腕利きのビジネスウーマンなんですが。自分の望みを叶えるには、押しが強くないとダメかなあと思いました。

 

栞子さんはミステリで言う所の探偵のポジションなんですけど、本に関する探偵であり、古書を巡る金銭や感情の問題を解決していきます。私は栞子さんのキャラは好きですけど、彼女が大人になったらシビアで怖い人間になると思います。いつか、自分のお店の本だけでは満足できなくなって、人を裏切ってでも究極の本を探しにいくはず。栞子さんの母親と同じように……。

 

古書というマニアックなテーマでありながら、このシリーズは売上が良くて、累計600万部を突破しています。男性よりも女性に人気があるという不思議な作品で、女性から見ても、栞子さんは魅力ある女性ということなんでしょうか。

 

【書評・感想】『陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎』ー映画化もされた銀行強盗が主役の小説

4人の人間が銀行強盗をするという物語でした。銀行強盗の過程で、事件に巻込まれながらも、4人の 能力を活かして切り抜けていくストーリー。4人のコンビネーションが良く、それぞれの人物が興味深いので見ていて飽きなかった。

 

一般人なのに銀行強盗をするという、荒唐無稽の話の展開なんですけど、面白い人間描写で、ミステリではなくて、ほのぼの系小説に近いと思います。直接殺人を犯すわけでもなくて、重い話ではないですね。

 

主人公が嘘を見抜ける公務員で、その親友が演説の天才という異色のコンビが見ていて面白かった。それぞれのバックグラウンドはちょっと重い話があるんですけど、全体的にノリが良いので、サクサクと読むことが出来ます。伊坂らしいちょっと現実離れした話なんですけど、キャラがきちんと立っています。サブの登場人物も個性があって、これだけの人物を魅力的に見せるのはさすが伊坂さんだなと思いました。

 

映画にもなりましたけど、原作では恋愛要素はありません。4人のギャングはそれぞれの家族がありますし、とても大切にしています。家族愛的な要素はあります。続編も出版されていて、シリーズ化しています。ただ、監視カメラなどの発達で銀行強盗が難しくなっていると、最新作に描写されているので、新しい話は出てこないかもしれません。

【書評・感想】『ラッシュライフ 伊坂幸太郎』ー長編だけど、登場人物が魅力的で読みやすい

4人の人間が織りなす不思議なストーリー。短編が4つというわけではなくて、4人の話が微妙に繋がっていき、最後に繋がっていくという展開になっています。最初と最後に画商と女性画家が出てくるのですが、この作品を締める役割もあって、読んでいて面白かった。

 

人間にはそれぞれの人生があるけれど、伊坂節で見事に繋げているのが凄かった。伏線が素晴らしくて、黒澤という空き巣の話があるんですけど、最後まで読んでみると「あー、そうだったのかあ」と思わせてくれます。

 

現実的な話なんですけど、残酷な描写やありえないシチュエーションが出てくるんですけど、日常と上手くミックスさせているのが見事でした。黒澤以外の人物は人生の闇を背負っていて、結構シビアな話になっています。黒澤のキャラがすごく良いので、後のシリーズで出番が多くなっています。

 

伊坂さんの初期作で、非常に面白い作品。長編で長いですけど、読みやすいです。私は3回ぐらい読みましたけど、画商と女性画家がある意味で、現実を示していて、権力って怖いなあと思いました。最後に伏線からのどんでん返しがあるんですけど、登場人物が魅力的です。読んだ後に、人間って何だろうなあと考えてしまう作品でした。

 

【書評・感想】『尾道茶寮 夜咄堂 おすすめは、お抹茶セット五百円(つくも神付き)  加藤 泰幸』ーつくも神が可愛くて、続編にも期待

『お茶』と『つくも神』を題材にした小説です。少女とおっさんと犬のつくも神が登場して、主人公と一緒に物事を解決していくストーリー。家族愛もテーマとなっていて、面白いお話でした。ミステリではなくて、人間の悩みなどをお茶を通じて解決していくので、読後感がとてもよかった。馴染みのないお茶の話でしたけど、スラスラ読めました。

 

このお話の『お茶』は、『茶道』のこと。つくも神も『茶道具のつくも神』で茶道に関してはとても厳しい。少女のつくも神は主人公に茶道を教えるのですけど、主人公の戸惑いや葛藤があって面白かったです。

 

それにしても、作者の加藤さんの博識ぶりに圧倒されました。お話の最後に茶道具の説明があるんですけど、茶道素人の私にはちんぷんかんぷん。でも、名前は分からなくても、つくも神がきちんと解説してくれるので、問題はないですね。

 

ほっこりさせてくれるストーリーで、主人公目線だからストレスなく読めます。2人と1匹のつくも神も特徴があって、特に犬のつくも神が生意気なんだけど可愛かった。つくも神は人間味のあるキャラクターになっています。巻末の展開から続編が作られるようになっていて、続きを読みたいと思いました。読んでいると茶道具に魅せられていきますよ。

 

【映画・感想】『スパイダーマン ホームカミング』ーアイアンマンも登場する明るいスパイダーマン

スパイダーマン ホームカミング』を見てきました。『シビルウォー』でアベンジャーズ入りを果たしたスパイダーマン。全体的に明るい作品になっていて、今までのスパイダーマンとはひと味違った印象になっていました。アイアンマンとも親子みたいな関係ですごく楽しめました。

 

今回は『ホームカミング』はスパイダーマンアベンジャーズに本格的に入る前の物語で、子供から大人への成長ストーリーで良かったです。力を持て余した子供が、絶望的な状況に陥りながらも、自分の力を信じて戦うシーンが最高でした。

 

ただ、スパイダーマンシリーズが好きな人だとちょっと物足りないかも。スパイダーマンになった理由は『シビルウォー』を見ていないとよく分からないですし、今作でも説明を端折っているので、「説明不足だ」と言われても仕方がないとは思います。

それでも、全体的にはすごく好印象な作品。今回は、作品に集中したいので吹き替えで見ましたが、ストレスなく見ることができました。中盤で力を過信して、一般人を危機に晒した部分からの、終盤の弱さを乗り越えて、自分を信じて戦うシーンにはグッとくる人が多いはず。王道ストーリーですけど、今までのスパイダーマンにはない明るさがあります。

 

親友の父親と戦って、業を背負うこともないので気楽に見れます。あと、ヒロインも可愛かったのですけど、読書好きで、いつも主人公の近くにいる女性が魅力的でした。調べてみると、この女性が今回のスパイダーマンのヒロインとのこと。

 

ラストの展開はちょっと衝撃的でしたけど、今作の悪役は純粋な悪ではないので、再登場してほしい。ちなみにその悪役を演じている役者さんが『バットマン』を演じていたと知って驚きました。

『アインシュタインが父として息子に語った「学習法」』ー情熱・笑いがベスト

 

学習法としては、アインシュタインは息子に、情熱を持てるように学習するようにと言ったそうです。確かに、学習としては情熱を持てるようにするのが良いのですけど、やる気を出して学べることって中々なかったりするんですよ。特に学校の勉強だと、分からなくなった時点で勉強しなくなりますし、線引きが難しいです。

 

情熱を持てるようにするには、一つ何でもいいから一つの教科を極めることでしょうか。本が好きなら国語とか、歴史が好きなら社会とか、計算が好きなら数学とか一つだけでいいので100点近く取れるまで勉強してみる。そうすると、他の教科もなぜか勝手に伸びるので、割とコスパのよい勉強法だとは思います。

 

ただ、それが出来るのが中学校ぐらいまでで、高校に入ってからそれをするのは難しい。単位の問題もありますけど、それぞれの科目が専門的になってきているので、100点近く猛勉強するには現実的ではないですね。受験シーズンになってからでは遅すぎるので。

 

勉強に限らずに、何か一つのことについて学習してみるのは大人の学習法としてもありです。仕事に使うから英語とか資格の勉強に使えたりします。何でも学習するときには、一つに絞ると上手いこといきますよ。

 

この記事の内容としては、『天才とは物事をシンプルに説明できる人』であり、『天才アインシュタインはシンプルな学習法を息子に教えていた』ということ。子供をうまく育てたいという大人の方向けの話だと思いました。

 

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【映画・感想】 『トランスフォーマー/最後の騎士王』ー2時間超えの長編、劇場で見るのがベスト

トランスフォーマー [DVD]

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トランスフォーマー/最後の騎士王』を観に行ってきました。CGを駆使したアクションはさらにレベルアップしていて、見ていて爽快感がありました。映画館での大迫力も相まって、すごく楽しかったです。2時間を超える長編なんですが、それに見合うだけのレベルの高さでした。子供の頃にトランスフォーマーを見ていた人に強くオススメします。

 

トランスフォーマーは大人から子供まで楽しめる映画です。大人は昔のアニメを思い出しますし、子供は親からトランスフォーマーを教えてもらって、おもちゃで遊ぶ。20代、30代、40代の方にダイレクトな作品なので、親から子供へ上手く伝わっていけばなあと。

 

ただ、長くて、ビジュアル的に生物的な要素があるのか、子供は少なかったです。仮面ライダーミニオンが公開中なので、多くの子供はそちらに流れたのだと思います。トランスフォーマーは大人・子供向けなんですけど、上映時間がかなり長いので、飽きてしまう可能性もあります。

 

そう考えると、仮面ライダーなどのヒーロー映画って90分ぐらいで終わるのでよく出来ていると思います。人の集中力は最大で45分だと聞いたことがあるんですけど、飽きっぽい子供ならもっと短い。邦画と洋画の違いはありますけど、子供目線でいうと、仮面ライダーの方が子供には楽しめる映画です。

 

今回の『トランスフォーマー/最後の騎士王』は、トランスフォーマーのアニメや映画を見ていないと、よく分かりません。これまで実写映画が四作品公開されているので、DVDなどで予習しているとより楽しめます。個人的には、DVDを待つのもいいですけど、映画館で見るのがベスト。迫力が違いますし、集中して見れるので内容も結構頭に残ります。観た後にトランスフォーマーのおもちゃが欲しくなる、そんな映画。

【書評・感想】『秘密 東野圭吾』ー男性視点と女性視点だと感想が全然違う話

誰しも『秘密』を持っています。東野圭吾さんの『秘密』はある夫婦の物語。娘の身体の中に妻の魂が入ったというSFのようなお話。男性から見た、妻への愛、嫉妬などがシンプルに表現されていて、見応えのあるストーリー構成になっています。秘密というタイトルは、最終的な妻のある秘密がポイントなんですけど、男性視点なんで美化されているとは思いました。

 

この小説は夫婦のあり方を説いていると思いきや、元々はお笑い小説だったらしいです。娘の中に妻が?をテーマだったようなんですけど、笑いよりも感動的な話が合っていたということですね。確かにお笑いの要素はあるんですけど、妻なのに娘という矛盾が結構シリアス。

 

『秘密』は、男性と女性だと感想が全然違うらしいです。男性視点だと、妻が消えてしまう悲しいストーリー展開なんですけど、女性視点だと、娘になったことで新しい恋に向かうというポジティブな話になっているとのこと。この辺が男性と女性の違いというのでしょうね。ラストの『秘密』を知った主人公には共感しました。

 

同じような展開の話はよくあることだとは思います。コミカルよりもシリアスな展開となっているので、読み応えはあります。ただ、一つ気になったのは、娘の魂はどこへ行ってしまったということ。微妙にネタバレなんですけど、妻の『秘密』が本当なら娘に何処に?娘視点だと、話が序盤で終わってしまうので、女性視点以外だと、悲しい結末になってしまうのが気になりました。