人生のおつまみ

好きなことを基本的にはコラム形式で書いています。スポーツ、アニメ、書籍、産業をネタにしています。

小説

『サブマリン 伊坂幸太郎 』 の感想-子供と大人の関わり方。働き方の中で転勤する時に給料を取るか家族との時間を取るかが気になってしまった。

重いテーマだが、劇中キャラの陣内のようにしっかりと自分の信念に則って冗談を交えながら話すというのは子供との対話として効果的かなと感じた。子供との対話がテーマの一つになっているが、大人が子供とどう接するかが問題にもなっている。子育てにも関係…

『伊坂幸太郎 AX(アックス)』 の感想-父親から見た妻と息子。恐妻家には家族への溢れんばかりの愛がある。

ひさしぶりに伊坂作品を読んだ。一時期浴びるほど読んでいたが、最近は読みたい本が別にあったので読む機会がなかった。とはいえ、伊坂作品は相変わらず僕の感性に合っていて、それが困惑になっていく。少し地上から浮いた世界観の中に現実的な本質を叩き込…

過去の秘密とはー『出雲のあやかしホテルに就職します(5) 』

人間、誰しも過去の秘密がある。それを知る環境、時間によってその人に対する印象が変わる。人の対応力が鍵となる。 今年も巡ってきた「神在月」の季節。時町見初が働く出雲のお化けホテルでは、何かサプライズイベントをやろうと、従業員たちが喧々囂々の大…

正論は嫌われるー『田嶋春にはなりたくない』

正論は正しいだけに人から嫌われる。学生ならまだいいが、社会人になると感情的なぶつかり合いになる。空気を読む。 田嶋春、通称タージ。サークルの新入生歓迎会で未成年者の飲酒を許さず学生証の提示を求めるような、鬱陶しく、空気読めない、まさに正論モ…

服×喜び×相手ー『神様の御用人 (3) 』

誰かのために何かを作ること。そこに喜びを見い出せるのは素晴らしい。相手のために考えて作ってあげることは大事。 個性的すぎる洋服を押し付けられ、相撲勝負に柄杓探し、おまけにお菓子作りまで!?走り回る良彦を横目に神様たちは今日もいたって自由気まま…

面白かった本③

地下鉄に乗って 永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため…。思わず涙がこぼれ…

面白かった本①

十字屋敷のピエロ 初めて読んだミステリ小説。出版当時は本格ミステリが流行出した時期だったみたいだけど、僕が読んだ当時でも面白さを感じることができた。今は異世界ものがブームだけど、20年ぐらい前は、キャラよりも伏線とトリックが大事な時代だったと…

雨上がりの印刷所を読んでー『印刷所・就職・未来』

印刷をテーマにした面白い作品だけど、若者が陥る、社会の現実や厳しさが込められていて、結構面白かった。印刷業界の専門用語が飛び交うけど、印刷って奥深い世界。当たり前のように僕たちは書籍や雑誌を読んでいるんだけど、紙の媒体には印刷時にすごく細…

『なにかのご縁』を読んでー『大学生・縁・うさぎさん』

うさぎさんが『縁』を繋ぐ神様というのは意外だが可愛かった。大学生生活の中で、縁を見つけて、縁に振り回される主人公とうさぎさんの組み合わせは印象に残る。神のことを神様というように、うさぎもうさぎさんと呼ばないといけないみたい。うさぎさんの性…

仕事ができる人はすごいと思うけど、努力以外に人間関係の兼ね合いもあるから真似は難しいー『ラッシュライフ』と『嫌われる勇気』を読んで

伊坂幸太郎さんの『ラッシュライフ』を読みました。4人+1人の主人公がいて、それぞれが絡み合いながら、伏線が回収されていくのが気持ちよかった。人間にとって本当に大事なものは何かを考えさせてくれます。ダークな雰囲気もありますけど、読んだ後には…

『遠距離恋愛』と『環境の変化による別れ』について考えてみたー『イニシエーション・ラブ』を読んで

イニシエーション・ラブは恋愛小説で、最後のどんでん返しがすごいと評判でした。読んだ感想としては、確かにビックリしましたけど、それ以上に遠距離恋愛になると、人って変わってしまうのだなあと感じたりも。静岡と東京の間でやり取りされる話なわけです…

【読書・小説】殺戮にいたる病 我孫子武丸

とにかくヤバい小説です。犯人の本質や事件の真相、途中の悲しい事件なんかがポイント。読んだ後も、頭に残ること間違いなし。 とくかく、グロい。犯人が異常すぎて、本当にヤバい。二人の視点で物語は進んでいくんですけど、叙述トリックで、最後にビックリ…

【読書・小説】死神の精度 伊坂幸太郎

人の生き死にってなんだろうなと感じました。死神に生きることと死ぬことを支配され、本人は自分の死に対してほとんど関与することができないジレンマ。 人はいつかは死ぬというけど、死神にある程度支配されているのなら、それも運命と言えるのかもしれない…

【読書・小説】『アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎』

あらすじ ボブ・ディランはまだ鳴っているんだろうか? 引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。 初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。 彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかし…

【読書・感想】博士の愛した数式 小川洋子

大学生の時に読んだ、何とも悲しい話。80分しか記憶が持たない、元数学者と家政婦とその息子のやり取りが何とも切なく、印象に残る話になってます。 80分しか記憶がもたないので、メモ書きした付箋がたくさん貼ってあって、新しい記憶も維持できない悲しさが…

【読書・小説】アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス

あらすじ 32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。 そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。 この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受…

転×恋愛×遠距離ー『イニシエーション・ラブ』

ラストの展開にはビックリ。恋愛の残酷さ、環境の大事さがよく分かる。人は環境で変わってしまうのが辛い。人間的。 僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描…

【読書・感想】『魔王 伊坂幸太郎』ー『モダンタイムス』の前日譚

魔王ってタイトルだけど、何が魔王なんだろうと考えました。反アメリカが叫ばれる世界という設定の中で、それに少しだけ立ち向かう主人公が出てきます。展開的には、伊坂さんらしくて、結局敗北してしまうのですけど、それが後半のストーリーに繋がっていき…

【読書・感想】『神様の御用人 浅葉なつ』ー日本書紀や古事記について知りたくなる小説

神様も人間みたいな側面がある。そんな想いにさせてくれた小説でした。主人公もフリーターですけど、元社会人野球選手という背景がある分、感情移入ができます。 神様の御用人 (メディアワークス文庫) posted with ヨメレバ 浅葉なつ アスキー・メディアワー…