人生のおつまみ

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昨日の情熱大陸を見て思う事 水上力さんの和菓子作りに侍を見たか

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日曜に見た情熱大陸。凄かったです。和菓子職人の水上さんの話でした。

職人芸の見本みたいな人でしたけど、疑問に思ったこともたくさんありました。

私としては、水上さんがいなくなったらどうするんだろうと。

 

 

職人の後継者は?

 

今回、すごく疑問に思ったのは、「後継者」はどうするのかという問題。和菓子のほとんどを水上さんが作っているので、和菓子の伝達ということができません。水上さんがいなくなったら、誰も「水上さんの和菓子」を作れなくなってしまう。昔はそれでも良かったのだと思います。流通も今ほど発達していなかったですし、それぞれの職人の成長と一緒に和菓子の発展もあった。

 

しかし、今はすごくブームの間隔は短い。というよりも、水上さんだからこそお客さんがいたわけで、弟子では担うのはとてもしんどいと思います。何よりも、情熱大陸の冒頭でも語られていた通り、和菓子はどんどん洋菓子業界に浸食されている。マーケティングが上手くて、職人の技よりも、早くてある程度美味しいお菓子がどんどん出てきます。

 

それこそ、コンビニがお菓子業界を席巻している今、和菓子は苦境に立たされている。もちろん、水上さんのお店は繁盛していますけど、水上さんの弟子の時代になれば、情勢は大きく変わる。東京もどんどん人が入れ替わるので、今は人気でも、この先どうなるかわかったものではないですから。

 

少し前に、お寿司の専門学校が出来て、そこの卒業生のお店がミシュランで紹介されていたという話。まさに時代を象徴していて、職人の技よりも、ある程度美味しければ満足する時代になってしまった。食が過剰になって、技よりも早くて安いものが尊ばれるという悲しい時代になっています。これから10年間は山場でしょうね。

 

水上の技術はすごいです。長年の経験と才能と努力の結晶。それが和菓子に表れています。和菓子も色とりどりで、万葉集からバレンタインとか凄くオシャレ。和菓子なのに時代の最先端を行っています。その技術は素晴らしい。マネできない、まさに侍と言ってもいいでしょう。絶対にマネできない、完全オリジナルに進化しています。

 

それだけに、後継者のことが心配になりました。職人らしくて、見て盗めという論理だと思うのですけど、これからの時代大丈夫なのかなと。実際に若手は辞める可能性がありますし、次女の旦那さんが後継者ということですけど、本当に大丈夫かな。きちんと技術継承ができる前に、お客さんが遠のかないかが心配です。

 

テレビやネットを見ていると、流行の移り変わりは激しい。技術伝承は難しくて、水上さんがいなくなると、お店の繁盛が続くかどうか。

 

美味しんぼという漫画で語られていましたけど、先代と同じ味では、お客さんは見限るとのこと。先代に+αしている味が出せないと、お店を維持、展開していけるのか。後継者の難しさはそこなんですよ、やっぱり。先代以上の味を出せないと、お店としてやっていけない。

 

 

職人は侍?

 

水上さんの一日を見ていると、まさに侍であり戦い。朝7時にコルセットを腰に巻き、いざ出陣!特にわらび餅を作る過程で、全力で常に銅のボールと格闘していたのは驚きでした。一日であれだけしんどいのか過酷の極み。何十年も続けてきた水上さんを純粋にすごいと思いました。

 

朝ご飯も和菓子を作るまではとらない。本当に過酷な仕事。プロ野球も真っ青になるぐらい。あの手は長年の賜物。職人らしい手でした。本当にプロ中のプロなんですけど、毎日死にものぐるいで和菓子を作っている。その気合が伝わってくるような気合。

 

和菓子職人ってもっと繊細と思っていました。イメージだけだとダメですね。子供の頃には、お菓子職人になりたいと考えていましたけど、水上さんの格闘技のような和菓子作りを見ていると、気圧されてそんな甘い夢は消し飛びました。

 

事前CMを見ていたのですけど、そんなイメージはかけらもなかった。それこそ繊細を絵に描いたようにお菓子を作っていくのかなと。京都のイメージとは違って、体育会的な様相で、お弟子さんもいつも気圧されているんじゃないかなあと思います。あれほどのお師匠は中々いないはずですからね。

 

京都のイメージと違うお菓子作りでしたけど、まったく違うのが以外。料理人の世界って美しい印象ですけど、きっと泥くさく仕事していくのが実情なんでしょう。そこは侍と同じだと思います。毎日少しずつ磨いていく。和菓子は和菓子を、侍は戦の術を。その意味で、水上さんも立派な侍なんですよ。命かけていますし。

 

この人の和菓子は是非食べてみたいですけど、人気中々難しいようです。バレンタインとか凄い人で、一人では捌けないぐらいお客さんが来店していました。個人店の辛い所でしょうけど、マーケティングとか上手い人が見ていると涎を垂らしているのかも。人気なのはそれだけで価値がある。

 

 

変な勧誘が増えそう

 

一幸庵に変な勧誘が増えそうとも思いました。テレビでとり上げられたし、あれだけの人気なんで、「ぜひ、私に広告アドバイザー、もしくはマーケティング担当にしてください」とか言う人。恐らく数人は電話とかかけたんじゃないでしょうかね。お金の亡者さん。気になりますからね。

 

和菓子ってそれほど大量に売れないですけど、だからこそ人気店は流行になりやすい。テレビで紹介されると一気に人気が高まりますから。お客さんを当然捌けないはずなんで、そこで変な人が出てくる。

 

純粋にお手伝いをしたいという想いならいいですけど、そんな人はいない。お金が儲かる所に集まるのが人間なんですよね。悲しいですけど、それが人間の性です。水上さんは職人だから騙されないでしょうけど、まわりのお客さんが迷惑に思うことでしょう。

 

 

後継者の重圧

 

お弟子さんは大変でしょうね。これは共感できます、本当に。水上さんが神様みたいな職人さんなんで、追い越すのは尋常じゃないぐらいの努力が必要になります。大変です。特に次女の旦那さんがお弟子さんらしいので、プレッシャーが半端ない。結婚する時には覚悟したはず。その想いは強くても、あれだけの仕事は難しい。

 

和菓子作りって簡単なようで難しい。あれだけの大変を見ると余計にそう思います。弟子としては追い越したい以前に、どうやって生き残るかで必死。それだけしんどい職場。和菓子職人が夢で遠い夢になりそう。それぐらい必死じゃないと、生き残れない世界。

 

でも、年齢を重ねると辞めるにやめれない。和菓子職人一筋なら、再就職はかなり難しいですし、他の和菓子に弟子するのも難しい。スパイと思われますし、修行を途中で辞めた職人を雇うとは到底思えないですから。就職するなら、どんなことがあっても諦めない心が必要になってくる。お弟子さんも大変ですけど、それが人生。

 

水上さんもお父さんも和菓子職人とのことで、相当悩んで修行したはず。自分にしかできない和菓子を作るという点で気合を入れるしかない。そんな修行でもそうなんですけどね。

 

 

最後に

 

レシピは残した方がいい。材料の配分とか書かずに、どんなものを作ったのかは、ノーチに残した方がいいですよ。永遠の謎になりますから。弟子も再現できるのに限界はありますけど、レシピがあると気合の入れようも違うはず。師匠を超えるという意気込みに繋がりますから。

 

良くも悪くも職人さんなんですよね。人生一度きり、それ以外は考えない。お金儲けとは対極の考えで、再現性など自分だけでできればいい。継承もありますけど、ほとんどは盗めということ。

 

心配なのは、水上さんが現役で和菓子を作れるかどうか。60歳後半では、そろそろかなり厳しいはず。世界最高の和菓子なのに、食べれなくなるのは嫌です。ただ、ネットとか使い出すと、お金の亡者が集まってきますし、そんなに大量には作れない。楽天とかでお店というのは難しいそうです。私ならネットショップがあれば注文したいですけど。

 

それぐらい和菓子が貴重で美味しいもの。水上さんにはもっともっと和菓子を作り続けてほしい。