人生のおつまみ

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『遠距離恋愛』と『環境の変化による別れ』について考えてみたー『イニシエーション・ラブ』を読んで

 イニシエーション・ラブは恋愛小説で、最後のどんでん返しがすごいと評判でした。読んだ感想としては、確かにビックリしましたけど、それ以上に遠距離恋愛になると、人って変わってしまうのだなあと感じたりも。静岡と東京の間でやり取りされる話なわけですが、徐々に男性の気持ちが離れていくのが見ていて切なくなりました。遠距離恋愛って色んな小説やドラマになっていますけど、恋人が東京に行って気持ちが変わってしまうというのは、実際の社会でもよくあることだと思います。この小説を読んでから、最初から読み出すと、伏線からかなり悲しくなると思います。

 

 遠距離恋愛って難しいと思いました。特に社会人になると、人間関係がガラッと変わりますし、精神的にも不安定になります。近くにいると、すぐに会うことができますけど、遠距離だと会えないので、心配がつのります。小説の中だと、男性が一人のある女性と出会うことで、大きな転換期を迎えます。実際にもありそうなシチュエーションなのですが、人間関係って難しい。純愛という言葉もある通り、ずっと愛し合うこともできますけど、距離が離れるとどうしても他の異性と付き合うことになるのは仕方がないのかもしれません。小説だけの話ならいいですけど、遠距離で別れるという話は現実でもよく聞きます。

 

 社会人になって、環境が大きく変わってしまうと、それまで大切にしていた物を捨てたり、人間関係を断ち切ったりするという話も聞きます。価値観が変わってしまって、『学生時代の考え方=甘い考え』と言い切るようになってしまい、それが大人への成長かもしれませんけど、割と悲しいことは確かです。社会人って、リアルにお金や将来が迫ってきて、突然、嵐の中に置き去りにされるようなもの。親の強いコネとかあればまた別かもしれませんけど、それぐらい過酷な現実を突きつけられたりしまう。学生時代の甘いノリなんかはもはや通用しなくなる。

 

 だから、学生時代に付き合っていた異性とも考え方が違ってしまって、別れてしまうということになるのだと思います。実際、社会人になって考え方が変わってしまった人もいますし、将来のことを無計画だった人が、いきなり老後のことを考えて働いていたりもします。それって結構怖いことだとは思いますし、それが真面目な普通の社会人と世間は言うのですけど、人間の本質は変わってほしくないですね。就職した会社にもよると思います。激務な職場だと、余裕がないのでキツい性格になったり、逆にゆるい職場だと朗らかな優しい性格になったりと。まあ、独断と偏見なので実際にはもっと複雑なはず。

 

 『いま、会いにゆきます』のように、不器用な二人が出会って、そのまま結ばれるような小説もあるんですけど、実際には中々上手くはいきませんよね。恋愛小説って、ドロドロした話と綺麗な話に別れていて、いま会いは綺麗なハッピーエンドだと思います。高校生ぐらいはこんな未来もあるかなあと思ったりもしたけれど、現実って小説よりもドロドロしていたりして、リアルな人間関係に苦悩することもあります。擬似体験できるのが小説の強味ですが、恋愛小説って読んでいると昔の体験とか被ってしまって、ときどき感傷にふけることもあります。

 

 遠距離恋愛って悲しい結末になることもありますけど、高齢になったときに、こんなこともあったなあと思えるぐらいだったら面白いのですけどね。