人生のおつまみ

好きなことを基本的にはコラム形式で書いています。スポーツ、アニメ、書籍、産業をネタにしています。

面白かった本③

地下鉄に乗って

地下鉄に乗って (講談社文庫)

 

永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため…。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。

「BOOK」データベースより

 

 

 学生の頃に読んだけど、ラストの展開はいまだに記憶に残っている。「血のつながり」がテーマになっていて、地下鉄の駅がタイムマシンみたいになるのが画期的だった。割と昔の作品なんだけど、読後感がモヤモヤするけど、割とスッキリ考えることができるようになっているのが良かった。戦前の話が出てきたり、両親の秘密、兄との関係、恋人との別れなど、盛りたくさんの内容で、読み応えは十分にある。


 
 恋人との別れはすごく悲しかった。実は父親の隠し子で、異母兄妹でありながら付き合っていたという事実。終盤には、ある事故が起こって妹は現代から存在が消えてしまい、そのことを知っているのは主人公のみという絶望。実は兄とも半分しか血がつながっていなかったりと、過酷な運命を背負っている。
 
 
 戦前から戦後、そして高度経済成長へと物語が進んでいった。短編集みたいな印象だけど、一つの内容がすごく濃いし、最後の展開は印象深くて忘れられない。浅田次郎さんは好きな作家で、人間性を感じることができるキャラクターを数多く創作してる。悲しい物語で救いがないように思うけど、それぞれの人間が一生懸命に生きている様子をイメージできるから、記憶に残る。
 


ひとり旅の神様

ひとり旅の神様 (メディアワークス文庫)

 

 

 神崎結子・OL。ひとり暮らし、彼氏なし。とにかくとことんついてない。上司からは小言の連続、後輩はいまいち頼りない。そんな日常からの逃避行でたどり着いたのは、都心からは遠くて近い、鎌倉駅。そこで結子は、言葉を話す不思議な猫・ニャン太と出会う。自分を“旅を司る神”と名乗るその猫から頼まれたのは、日本の各地に住まう猫神様に文を届けること。どこか懐かしい土地へのひとり旅は、新たな発見の連続で―。日本の景色と食を巡る、心に優しいひとり旅の物語。

「BOOK」データベースより

 


 話す猫が気になったので読んでみた。現代のOLが主人公になっていて、辛い社畜生活がから開放されるために、ふとしたきっかけで旅行に行ってみるという展開。猫と喧嘩したり、討論したりして、旅行の神髄を楽しむ姿に好感が持てた。話す猫というのは、昔から物語にあるけど、旅行を題材にしたのは珍しいと思う。猫というと、関西弁をイメージしてたけど、色んな言葉を話す設定があったりすると面白いかも。
 
 
 旅行プランみたいに、旅行の行程が書かれていたけど、実際に旅行に行く時に参考になると思った。僕はプランで旅行に行った経験はほとんどないけど、観光地を具体的に書いてあるのはいいなあと感じた。知らない土地に旅行すると、上手く回らないと疲れるだけということは往々にしてあるので、プランを書いてくれると色々と参考になる。でも、結構几帳面でないと、日程は立てれないから難しいね。
 
 
 旅行を題材にして、結構楽しめた。最近流行のあやかし小説のように、あやかしのような猫が相棒であり、結子と猫の掛け合いがすごく面白かった。一人旅は女性に人気だと聞いたことがあるけど、旅は道ずれと言うし、可愛い話せる猫か犬がいればもっと楽しくなるだろうなあ。友達同士で旅行しても、ストレスが溜まることがよくあるから、伸び伸び旅行するなら、こんな相棒と一緒に出かけてみたいものです。
 

図書館は、いつも静かに騒がしい

図書館は、いつも静かに騒がしい (SKYHIGH文庫)

 

 

就職活動で挫折し、半年間ひきこもっていた23歳の菅原麻衣。偶然見つけた区立詩島図書館の求人に応募したところ、あっさりと採用される。いざ出勤してみると、本を手放したくないと泣きじゃくる女性や何でもミステリーにしたがる男性、妙な歌を自作するおはなし会が得意な主婦など、同僚は変人ばかり。これまで図書館に興味がなかった麻衣は周囲の情熱に後ろめたく思いながらも、仕事を通じて来館する人々と触れ合ううちに自分の気持ちが変わっていくのを感じ―。

内容(「BOOK」データベースより)

 


 図書館は子供の頃は好きじゃなかった。本はそんなに好きではなかったし、面白い本も少なかったから。図書館って、本がたくさんあるだけの面白くない場所だと思ってた。だけど、本を読む出してからは、無料で借りれて、自分の知らない世界を知ることができるから多少好きな場所になった。
 
 
 図書館に司書として働くには、現代は結構厳しいと思う。ネットのビジネス系ニュースだと、月収12万円程度ということが書かれていたけど、本気で本が好きな人でないと難しい世界だと感じる。派遣の仕事の方が給料が良い場合があるし、いまブームの副業を平行してしたほうがお金を稼げると思う。その葛藤は本の中でも多少語られているけど。
 
 
 だけど、職場の雰囲気は良くて、就職に失敗した麻衣の心を急速に回復してくれる。いい人が多くて、こんな職場は珍しいと思う。人々の触れ合いってとっても大事。そう考えると、麻衣の以前の職場って最悪だったなあと思う。人をこき下ろして仕事とか……。結構ブラック企業についても考えさせられた。