人生のおつまみ

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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観た

 ゴジラの最新作。ゴジラファン待望の作品である。ゴジラと言えば、日本の特撮作品だが、アメリカでもゴジラが作られ始めた。当初は、大量に繁殖して、高速で人を襲うゴジラだったが、今ではゆっくりと力強く、世界でたった一匹の生物に落ち着いていた。日本版ゴジラを参考にしていると思うが、だからこそ日本向けの作品とも言えるかもしれない。ゴジラと並行して人間ドラマが展開されるが、洋画らしい展開の中に邦画との違いを感じた。ゴジラに対して、友好的な『友達』なのか殲滅すべき『敵』なのかというテーマが盛り込まれている。ゴジラだけではなく、キングギドラモスララドンというメジャー怪獣を出した当たり、日本向けの意味合いが強い。

また、レジェンダリー・ピクチャーズ製作の怪獣映画を同一世界観のクロスオーバー作品として扱うモンスターバースシリーズとしては第3作目の映画である。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ - Wikipedia

と記載されているように、アベンジャーズとの共通点が見られる。世界観を同一視して、多数の怪獣を出現させ、バトルや対話などを展開している。アメリカでアベンジャーズが受け入れられているので、怪獣映画としてシリーズ化させて人気ブランドにしようという考えなのかもしれない。ゴジラファンとしては、平成VSシリーズを連想すると思う。日本のあのシリーズも世界観は同じであった。メカキングギドラの技術を利用して、メカゴジラが作られたり、ベビーゴジラが成長してゴジラになったりと、作品間に明らかな関係性を持たせている。コアなファン、特に熱狂的な固定ファンを獲得するという意味では有効に思える。当時は1年スパンで作られていたので、年末年始に観に行くということが出来たので、子供にも優しい映画であった。

 今作のゴジラ映画は、体感的にゴジラファン以外での楽しめるように思えた。映画館に行くと、どの時間帯もほぼ満席であったし、世代も幅広かった。子供からその親、祖父母世代まで一緒に観ていたというのには、一種の感動さえ憶えた。幅広い世代に受け入れられる映画というのは強い。『君の名は。』を連想したし、配給が同じ東宝なのも縁なのかもしれない。小難しい理屈を並べるよりも、「細けえことはいいんだよ!」的な考えで、とにかく怪獣バトルが多い。難しいテーマ性を考えるよりも、その場のノリで楽しむ映画であると思う。映画評論家と一般のお客さんがつけた映画に対する点数に差が生じているのはその点かなと。ゴジラ映画に共通するテーマを根拠にして考えると、『ゴジラ』に対する考え方にこれまでと大きな違う点があるから点数は低くなってしまうと思う。

 ハリウッド版ゴジラは、地球のバランサーであり、人類やその構造物を破壊することで、地球の環境をクリーンに戻すというもの。エンディング部でそれは描かれていた。日本のゴジラ観とはかなり違っていて、ここが許容できるできないの分岐点なのかもと。地球のバランサーがゴジラなら、人類って何だろう?と思ってしまうが、ゴジラ=地球の使者に意味を感じる。人類=悪という構図はよく聞くが、アメリカ版ゴジラでは、ゴジラこそ地球の意志というわけであり、人類はゴジラにひれ伏してしまう。人類の武器はまったく無効であり、戦っても勝ち目はない。ただ、オキシジェン・デストロイヤーを米軍が開発しているので、ゴジラに対する絶対的な兵器を保有していることになる。言い換えるなら、ゴジラをコントロールできるわけだが、そこがこれからの物語の肝とも言える。ハリウッド版ゴジラは、怪獣VS怪獣の構図が素晴らしいが、人類とゴジラの関係も気になる所。見ている感じは、平成のVSシリーズ。それをアメリカがリメイクして、迫力ある映画に仕上げている。日本版では、ゴジラは圧倒的強者で日本を破壊するものであるが、アメリカ版では地球環境を再生させる地球怪獣という立ち位置なだけに、日本版とは違った結末が待っていそうではある。

 日本版とアメリカ版ではいつくか違いがあるとはいえ、怪獣バトルは面白かった。着ぐるみではなく、CGが多用されているようだけど、迫力あるバトルになっていた。ゴジラの巨大さもわかり、キングギドラの獰猛さもよく理解できる。一体一体の怪獣が強く、現代兵器が役に立たないという恐怖も描きながら、人間くささの漂うストーリーを構成していた。渡辺謙さんがゴジラ映画で有名な芹沢博士を演じていたり、オキシジェン・デストロイヤーが出て来たり、キングギドラモスララドンなどのメジャー怪獣が出演したりと、日本のファン向けの設定が盛りたくさんで、日本ファン向けに作っていることに驚きを感じた。平成シリーズを見ていたら、ニヤリとできるネタが豊富でビックリする。東宝とよく相談していると思ったし、何よりファンを大切にしているなと思った。ネットではネタになっているけど、マグロ云々のゴジラの頃は、批判も多かっただけに、時代は変わったんだなあと感じる。時代と技術によってゴジラ映画も進化してきた。日本では災害のイメージがあるゴジラだけど、海外では環境も含まれていて、違いが明確に出ている。でも、ゴジラが襲った地域が環境的に再生するというのはどういうことだろうか?生命を活性化させる粒子みたいなものがあるのだろうか?

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(オリジナル・サウンドトラック)

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(オリジナル・サウンドトラック)