人生のおつまみ

好きなことを基本的にはコラム形式で書いています。スポーツ、アニメ、書籍、産業をネタにしています。

伊坂幸太郎のオススメ小説作品ベスト10

はじめに 

伊坂幸太郎さんは人気の作家です。
私も好きな作品が多くて、伏線が見事です。
魅力的なキャラクターが多いのが特徴。
そんな伊坂作品を厳選して紹介します。

伊坂幸太郎作品10選

ゴールデンスランバー

大きな国家権力から逃走する主人公。
実写だと堺雅人さんが演じられていました。
無実を証明するという王道展開ではなくて、
ただひたすら逃げ続けるのが特徴の作品です。

王道展開にしなかったのは良かったと思います。
確かに、権力に真っ正面から反抗するという展開は、
伊坂作品に少し違和感がありますし、
逃走劇だからこそ、伊坂さんの魅力が全開になります。

私としては、最後には一矢報いてほしかったですが、
中々難しい。ある意味で、騙したわけなんですけど、
悲しいエンディングなのは変わりません。
文庫版だと少しは救われて良かったとは思いました。

 

死神の精度

短編集なのですが、話に繋がりがあります。
最終話は、これまでの伏線が消化されて、
まさか、あの人物が調査対象だったのかと思います。
主人公の死神は、人の「死」か「見送り」かを
判断し、その過程がメインのストーリーになります。

中々に難しいテーマですけど、
音楽好きという属性のある死神。
調査する人々は多くが愛を抱えて生きていました。
短編ながら心に残る話が多い名作。

私が好きなのは、中盤の純愛の話と最終話の
老婆の話。ある繋がりがあり、人の死、愛について
考えさせてくれます。
非常に重いテーマですが、キャラが活き活きと
していて、読んでいて爽快感があります。

 

陽気なギャングが地球を回す

タイトル通りに、陽気な4人の強盗の話。
ターゲットは銀行で、特殊な能力を持つ
4人が逆に事件に巻込まれて、右往左往しながらも
自分達で切り開いていくストーリーになっています。

キャラ作りが見事で、4人とも非常に濃い。
強盗団が主役なんですけど、洋画のようにノリのよい
人物だらけで面白かったです。
強盗団と聞くと怖いですけど、かなりの部分がコミカル。

私としては、続編も好きなんですけど、
本作が一番好きです。初期の伊坂さんの作風であり、
キャラが立っていて、読んでいて楽しくなります。
実写映画もありますけど、テーマがちょっと異なって、
別キャラになっていますが、それはそれです。

 

週末のフール

小惑星の衝突が確実になり、
8年後には地球は滅亡する。
そんなSFのような世界観から始める物語です。
暴力や略奪という恐怖が沈静化した世界。
嵐の前の静けさの中で、人々は何を思うのか。

滅亡が確実になっている地球でも、
人々は懸命に生きています。
その中で、復讐、家族、自分など
色んな人の人生模様が描かれています。

最終的な結末は分かりませんが、
ラストの光景は非常に印象深かったです。
滅亡するからこそ、美しさを大切にする。
残酷な描写もありますが、
それでも人は懸命に生きていく。

 

ラッシュライフ

4人のキャラクターを中心に話が進んでいきます。
序盤とラストにもう一人の話が出てきますけど、
それまでの4人の話をイメージしておくと
色々と思うことがありました。

伊坂作品の人気キャラの黒澤が初めて登場した作品で、
重力ピエロやポテチなどで活躍します。
空き巣なんですけど、カウンセラーの才能もある。
探偵役が一番似合うのですけど、それも副業扱い。

伊坂さんの作品で、一番最初に読むといい作品。
伏線が見事で、4人のキャラが上手いこと
立ち回っていて、話が崩壊していませんから。
特に、序盤の黒澤の話を、読んだ後に思い返すと
すっごく印象に残ったりします。

 

フィッシュストーリー

私の好きな伊坂短編集です。
タイトルのフィッシュストーリーとポテチが秀逸。
人の信念・正義が世界を救うフィッシュストーリーと
家族の複雑な愛情がテーマのポテチが素晴らしい。
ポテチは子供って親が思う以上に、親のことを
想っているということを伝えてきます。

ポテチはタイトル通りに、
ポットチップスが大きな意味を持っています。
例え、食べたい味と違う味でも、
案外良いもの……。
最後まで読むと、結構くるものがあるんですよ。

この作品は、これまでの伊坂作品のキャラが
数多く登場します。黒澤は2作品に出てきますし、
サブキャラも同じ。
ラッシュライフとオーデュボンの祈りを読んでいると
結構分かると想います。

 

アヒルと鴨のコインロッカー

実写化された、不思議な物語。
叙述トリックで、ラストのすべて分かるんですけど、
そこまでが長いので、途中で飽きる人も
多くなるかもしれません。

若者の残酷な描写もあるので、中々に怖い作品。
現在と過去の話で、二つの物語が最後に重なる。
読んだ後は切なくなること必死で、
たくさんの感情が芽生えてきます。

ブータンから来たドルジというキャラが素晴らしい。
本当に頑張ったという他に言うことがない。
大切な人の魂と想いを守るために戦う。
ラストの展開は本当に感動もの。
こういう話に私は本当に弱い……。

 

重力ピエロ

家族とは何か、親とは?兄弟とは?
を投げかける作品です。
主人公の弟の春の生き方が非常に印象深い。
父親のため、母親のため、兄のために
自分のすべてをかけて戦う。

初期の伊坂作品でも人気の高い小説で、
家族をテーマにしているだけに、
話は非常にシリアスでとても重い話になっています。
血とは何か、遺伝とは?を読んだ後に考えました。

主人公と弟・春の出した答え。
終盤の二人の父親の台詞は本当に心に残ります。
この作品で一番強いのは、二人の父親でした。
血は繋がっていなくても、子供は親に似る……。

 

あるキング

野球を題材にした作品で、明らかに仙台の
某球団を参考にしています。
出版された当時は、まだ弱くて、
日本一になるのは、4年後でしたからね。

私は完全版を読みましたけど、
全部読むのは結構しんどかったです。
伊坂好きには、3つ目の作品だけで十分だと思います。
1つ目と2つ目は文学的すぎてキツかった。

内容的にはとても面白くて、
野球が上手さよりも、人間性が重要な
日本の野球界を上手に表しています。
やっぱり、スポーツは人間性も重要なんだなあと。

 

モダンタイムス

あるキーワードを検索することで、
巨大な権力によって、罰が与えられる
といったストーリーの作品です。
ゴールデンスランバーに似た雰囲気を持っています。

主人公の奥さんが強烈で、
美人なんですけど、本気で怖い。
浮気する主人公もどうかと思いますけど、
特に前半の奥さんが最強すぎてビックリしました。

伊坂さんの『魔王』のある意味でも続編になっていて、
魔王を読んでいるとすごく楽しめます。
魔王の時点でこの作品のラストが
予見されていますから。
私の一番好きな作品です。

 

おわりに

伊坂さんの作品はクセが強いものが多いです。
ただ、実写化された作品が多いので、
それを見てから原作を読んでみるといいと思います。
過去作品のキャラが再登場したりするので、
数多く伊坂作品を読んでいると、大いに楽しめます。