人生のおつまみ

好きなことを基本的にはコラム形式で書いています。スポーツ、アニメ、書籍、産業をネタにしています。

『ちどり亭にようこそ』を読んで

 京都を舞台にした仕出し弁当屋さんの話。最近、おやかし系の小説が数多く出版されているけど、京都を舞台にしたほのぼの系小説も多くなってきているから、ちょっと興味があって買ってみた。仕出し弁当屋ということなんだけど、店主は名家のお嬢様だったり、そのお嬢さんがお見合いをしていたりして、その中で主人公の大学生が巻込まれていく。

 

ちどり亭にようこそ ~京都の小さなお弁当屋さん~ (メディアワークス文庫)

 

 京都って古風なイメージがあって、お弁当屋を経営するのが、「道楽」らしい。名家からしたら、先祖代々の土地を守るために、自分の家柄に釣り合うような結婚を子供にしてもらって、家を安定させていくというのは、色んな作品で見たことがあるけど、一般人からしたら別世界なんだろうと思う。色んなしがらみがあって、思いも寄らない苦労があったりするんだろうなと。

 

 僕としては、主人公の大学生の恋愛話より、店主と元婚約者の話が気になってしまって、どっちも不器用だから、話の展開的には面白い。主人公の恋愛話はザ・大学生って感じがして、他の小説なんかでも見慣れているし。子供の頃からの幼馴染みで、ある事情から結婚できないって話はハラハラする。

 

 僕は料理は苦手なので、料理の知識にはついていけなかったけど、お弁当が綴る物語は印象に残る部分が数多くあった。アレルギーに関する短編では、少年が遠足なんかに持っていくお弁当って、冷酷だけどお弁当の中身でからかわれたりするから可哀想だと思った。

 

 物語の内容から見て、主人公は同志社大学の学生で、お弁当屋に居候している大学院生は京都大学なんじゃないかなあと想像した。というより、本にちどり堂(お弁当屋)の地図が描かれてあって、そこに載っているのが上の二つの大学。小説にリアリティを出すと、イメージが沸きやすい気がする。