人生のおつまみ

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探偵役に付随する絶対音感-『横浜ヴァイオリン工房のホームズ』

 美人の楽器修理工房の店主が主人公。横浜が舞台で、割と珍しい探偵設定だと思った。下宿人の主人公とお姉さん的な役割の探偵。表紙の絵も可愛い。ヴァイオリンが一つのテーマになっていて、最近見た『響けユーフォニアム』シリーズに少し近い。あちらは青春してる高校生が主人公だけど、こっちは大学生の男と絶対音感の店主。ドタバタ劇かと思いきや、きちんと絶対音感を活かした解決法があったりして面白い。というか、店主の響子さんの人脈と知識量がすごい。ある意味で探偵らしい探偵のような気がする。もちろん、完璧超人ではなくて、興味がないこと、つまり料理や家事はダメダメで、それを主人公の広大がこなしていくという役割分担になっている。ちなみに恋愛的な状況はない。

 音楽で生きていくのはしんどいなあと感じてしまったのが一点。実力をつけるための環境作りが大変で、24時間音楽に没頭できる環境がないとプロになるのは難しいらしい。それを達成するには、第一条件として親がお金持ちとでないと無理で、音大に通っても、バイトもせずに一日中音楽・楽器の練習をしないとプロレベルの上達は厳しいとか。圧倒的な才能があれば別だろうけど、就職する時につぶしが聞かないのが厳しい世界だと思う。子供の頃から思う存分ヴァイオリンを弾ける人って中々いないだろうし、何か選ばれた職業のような気がする。それこそ世界クラスの演奏者ともなると。

 ドラマとか小説を読んでいると、楽器の練習をする時に『防音』ってどうなっているんだろうと気になる。いかにクラシックの素晴らしい音楽でも、毎日ならうるさいと思うだろうし、それを感じないブルジョワな余裕のある地域でないと難しいのではないだろうか?僕が知らないだけからしれないけど。趣味ならいいのだけど、プロを目指すとなると家での練習は必要不可欠だろう。この前見た、『響けユーフォニアム』でも、市街地の中で、楽器の練習をしたら怒られるんじゃない?ということが気になってしまった。子供が公園で遊ぶだけで、「うるさい!」とクレームが来る世の中だから、響く楽器ともなると騒音と認識されるのではないだろうか?まあ、そこまで考える人は少ないと思うけど、音についてまったく気にしないで練習できるというのは、すごく恵まれていることだなあ。格差社会の縮図みたいなことを考えてしまった。

横浜ヴァイオリン工房のホームズ (メディアワークス文庫)

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