人生のおつまみ

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理想の教育って何だろう?ー『犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2-』を読んだ感想

 

□教育とは何だろう?

 

教育って難しい。大人が望むように子供は絶対に育たないというのは分かります。子供は大人の完全な分身ではないから。親の背中を見て子供は育つと言いますけど、子供には親以外の大人とも接する機会があるわけで、いくら家で100%の教育をしても子供が理想的に育つかは微妙です。教育ママという言葉は今では使われますけど、親からしたら子供に幸せのある実りある人生を送ってほしいと思うのは当たり前だと思います。

 

 

犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2- (新潮文庫nex)

犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2- (新潮文庫nex)

 

 

さて、読んだ小説の中で、教育に関する一つのケースが出ていました。『自分の3人の子供を競わせて、一番優秀な子供のみ褒める。そして、残り二人の子供には愛情を注がない』というもの。これにより、子供は母親に依存して、何でも言う事を聞くようになる。なぜなら、母親の愛が競争して勝ち取ったものであり、母親が言う事を達成すればさらなる愛情を受けることができるから。何とも恐ろしいですが、恐ろしく合理的。

 

 

資本主義社会では競争は必須。競争に勝たないと安定して人生を歩めないらしい。受験、就職活動、起業などなど。その中で、子供の頃から競争していれば、自ずと自発的に勉強や仕事をするようになるかなと思います。愛情という誰もが欲する幸せの一つを勝ち取るために。この作品で出てくる母親は、国家のトップであり、子供も国の中枢を担うように育てて来た。ある意味で、ロボット、AIを育てるような育て方。

 

 

僕としては、かなり恐怖で、もし勝てなければ一生愛情を貰うことなく育ち、一生親の愛情に飢えることになる。実際に作品でも大きなテーマでしたから、親の存在は偉大そのもの。ただ、国を背負う人物ならまだしも、一般家庭でこの教育は虐待の一歩手前だと言えます。何せ勝たないと一生愛情を与えないのですから。物語では、最終的に母親は本当に子供の能力しか見てない事が分かるのですが、普通に生きることと、国を背負って生きること、かなりの隔たりがあるように感じます。

 

 

子供は子供らしく育てようと一般論でありますけど、現実はそうはいかない。受験戦争という言葉が示す通り、安定した人生を歩むには、良い大学に入ることが一つの条件。起業という手段もありますが、ここでもビジネスの世界の中で、実力で勝ち抜かないといけない。過度な競争は人間らしさを無くし、ある意味でロボットめいた生き方を宿命づける可能性がある。何事も中庸。間を取った生き方はできないものでしょうか。