人生のおつまみ

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【読書】『HOLLOW WAORLD』の2000文字感想:大切な人を救うためにすべてを投げ打って頑張るのは分かるけど、自分に年齢によって考え方が違ってくると思う。夢と現実に似ている。

彼女彼氏を救うために色んなことを犠牲にするべきか?というテーマがあります。小説は映画で描写がなかった細かい内面、物事の経緯などが詳しく書かれています。流れは完全に同じですが、小説を読んでも、彼女のための命と人生をかけて行動できるかということが疑問に浮かびました。彼女のために全力を尽くす行為。劇中では、想像・仮想の世界に入った未来の主人公が過去の主人公を助ける。そこから二転三転するのですが、本質は『彼女を助けたい!』その想い。仮想空間で物事が進むので、終盤のSF要素は分かり難いですが、彼女のために、未来も過去も関係なく戦う姿には、少し感動しました。大人の主人公の人生経験から来る想いも、子供の主人公の感情に任せた想いも十分に理解できる。理解できるからこそ、難しい問題です。綺麗な映像に惑わされそうになりますが、大切な人への想いが根底にあって、そこがすべての出発点になっています。二人の主人公の行動の違い、環境の違いがそのまま結果になって帰ってきます。何度でもトライできる未来と一回しかトライできない過去。でも、その二つが混じり合う時に奇跡が起きる。物事って単純ではないですが、想いが二つあるだけで、すごく複雑になる。まさにバタフライ効果

 

■個人的な評価

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HELLO WORLD (集英社文庫)

HELLO WORLD (集英社文庫)

 

 

大切な人のために頑張るのは分かります。特に大人の主人公はその想いが強い。高校生の頃に事故で無理矢理分かれることになった。人間は感情で動くので、行動すること自体悪くはないです。大切な人のために頑張ったり、行動したりするのは当たり前の行為で、古今東西、小説、マンガ、ドラマや映画などで散々描かれてきました。彼女彼氏のために、気力を振り絞って頑張る。それが大切なこと。自分の地位も立場もお金も関係ない。そんな感情のままに動く行為は非常に純粋に見えてしまう。だからこそ、それらがない可能性が高い高校生が主人公に相応しい。立場もお金もないですが、大切な人のことなら何よりも頑張れる。それが人の心を打っていきます。人間は、純粋なものに心惹かれてしまう。綺麗なもの、美しいものを見ると、応援したくなるし、感動する。異性のために頑張るのは、子孫繁栄の想いもどこかにあると思うのですが、本能だから仕方がない。ただ、想い自体は純粋なもので、何を犠牲にしても行動し、助けだそうとする。それが汚かったりしますが、綺麗な想いと汚い行為、そのギャップが人の心を感動させてくれる。難しい話ですが、もっと考えて見ると、年齢によっても大切な人への感じ方、行動の仕方が違うと思います。

 

naotosan.hatenablog.com

 

大切な人のためというのは年齢によって異なるように感じます。子供の頃は感情に任せて、彼女彼氏のために勢いで行動できる部分があります。社会性や経済性を抜きにした、驚くべき行動力で道を切り開いていく。子供だからこそできることですが、だからこそ純粋で美しい。見ていて気持ちいいので、大抵の物語では若い登場人物が主人公になります。まさに。ザ・主人公という感じ。ただ、大人になると社会性や経済性が頭のひっかかる。これは仕方のないことですが、若いと何度でもやり直しがききます。就職も夢も何もかも。若いからこそチャレンジできる。しかし、守るべきものがある大人は違う。仕事、経験、人脈、資格、家族、たくさんの大切なものが出来てしまっているために、大切な人のために何かを捨てるのは判断が難しくなります。それに取り返しがきかないことが多い。まあ、これも物語として色んな作品があると思いますが、背負っているものがあると、中々に動くことが難しい。劇中の未来の主人公は、大切なもののために若い頃からすべてを捨てて行動していたわけですが、逆にすべてを捨ててまで大切な人を救うのかという、ある種の哲学は人、物語によって判断が変わると思います。あくまで物語の世界での話ですが。

 

 

 

彼女彼氏のために頑張るのは分かりますが、今の環境で守りたいものが出来ていると難しい。確かに、若いと勢いに任せて行動できますが、大人になると背負っているものが大きすぎます。特に、過去に戻ってすべてを捨てて誰かを助けるというのは、究極の二択問題。こういう二者択一の問題って、人生の問題に似ていますね。夢を追うか、現実を直視するかという二択。夢を追ってもいいですが、限界があり、実現しなかった時のリスクが大きい。逆に現実をきちんと見て、安定的なルートを選択すると、確かに安定しますが、どこかで夢を追わなかったことを後悔する。どちらも難しいですが、一度きりの人生でどちらを選ぶかは自分次第。だからこそ、しんどく、難しい問題です。物語として見ている分にはいいですけど、いざ自分の人生に大きく関わりができると話は違います。行動の一つ一つが人生に影響して、自分の将来を決める。物語みたいにハッピーエンドの可能性はあるけど、未来は分からない。チャレンジと同じですが、成功する可能性が高いほど、安定になってしまうジレンマ。大切な人を救うという物語から、夢と現実の問題になりましたけど、根幹にあるのは、チャレンジしないと変わらないよ!ということだと思います。HOLLOW WAORLD』の最後の場面がそうだったように……。