【読書】『重力とは何か』の感想:『決定論的』から『確率論』へ、真理を取るか就職の安定を取るか
大学生の頃、量子力学に興味ある友達がいた。僕としては、決定論的な物理学が染み付いていたから、位置と運動量を確率で表現するなんてどうかしていると思った。ただ、それは勉強すればするほど、当たり前のように思えてくるから不思議だった。卒業研究をしている頃には、統計力学を自分で勉強する必要があって、深く勉強していくと、『確率』というのは、非常に便利な道具であり、物理現象を説明することができるようになっている。統計力学は熱力学をより正確に理解するために発展してきた側面があるらしく、わりかし世の中って上手くできているなあと関心したこともあった。
重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)
- 作者: 大栗博司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/05/29
- メディア: 新書
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その友達に勧められて量子力学を齧ってはみたが、これが難しい。基礎的な分野は理解できたけど、発展的な内容になるとかなりしんどい。ネットを見ていると、量子力学はオカルトだみたいなことが書かれているけど、数学的に記述されていることが多いから、その気持ちは分かる。加速器を使った実験など、かなりお金の掛かる実験も必要になるから、理論と実験の比較も難しい。そもそも実験できるのか?みたいな領域もあるらしく、ミクロでもマクロでも分からないことは多い。昔、理学部出身の会社の先輩に「ひも理論には手を出すな。就職が難しくなるぞ」みたいなことを聞いたが、まさに安定を取るか、真理を取るかの二択だなあと感じた。