人生のおつまみ

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本好きの下剋上-自分よりも立場が上の人とどう話すか?-仕事でのコミュニケーションの参考になる。

本好きの下剋上というアニメがある。2019年の秋クール、つまり現在絶賛放送中のアニメだが、これが非常に面白い。所謂異世界ものなのだが、戦闘や知識で無双するわけではなく、知識を使って徐々に環境を変えていき、『本を作る』という目的に向かって邁進していくというお話。キャラが可愛いが物語がしっかりしていて、背景なども作り込まれており見ていて集中できる物語になっている。『小説家になろう』に投稿されている作品ということだが、話の作りがしっかりしていて、すごくビックリしてしまう。

中世ヨーロッパのような舞台設定で、当時の日常生活感もしっかりと表現しているあたり、作り込みの際の難しさが窺える。アニメの作り込みも素晴らしく、キャラが活き々々と動く姿は見ていて面白さを感じる。恋愛やアクションとは違い、物語が大きく動くことはあるが、戦闘シーンはほぼなく、ほのぼのした雰囲気が進むことが多い。その中で主人公のマインの病気がきっかけになって、階級を超えた繋がりから作品の魅力が出てくるといった感じである。とは言っても、アニメの段階では、平民階級の辛さも感じるが家族の愛に救われているのだが、貴族階級の助けがないと長く生きることができないというわけで、家族との別れが一つのターニングポイントになっている。

現代日本に暮らす本須麗乃(もとすうらの)は、念願である図書館への就職が決まった日に亡くなってしまう。もっと多くの本を読みたかった、そんな未練を抱いた彼女は気が付くと異世界の幼女マインとしての体を持っていた。 物語の主な舞台となるのは、魔法の力を持つ貴族に支配される中世然とした異世界の都市エーレンフェスト。厳格な身分制度の中、現代日本の知識を持つ少女マインが、本を手に入れるために出世していく。

このアニメでは、転生前の知識を使って、リンスやカゴ、食べモノを作って生活しているのだが、商人から見るとそれは非常に価値があり、飛んでもないお金を生み出す種だということになっている。確かに、何百年前には無かったものを、当たり前のように生み出すマインと彼女が持っている知識は非常に価値があり、当時だったら大金持ちになってもおかしくない知識を持っていることになる。これって考え方一つで無価値のものが価値あるものに生まれ変わることであり、知識・情報は武器だなあということを思い出させてくれる。

異世界ものでは定番なのだが、本作品では、主人公のマインの身体は弱く、歩くことさえままならない。だから無双できるというわけではなく、家族や友達、仕事仲間の力を借りながらしっかりと前に進んでいる。知識は武器ではあるが、それは環境を変えるための道具として使っていて、決して安直に異世界で活躍できるわけではない。そもそも、車もなく、電気もない時代なので、できることは限られている。その中で自分に何ができるかをしっかりと考えて行動できるマインはすごいなと思う反面、作中の他人から見たら変な子供に見えるだろう。今作では悪人は出ていないので、知識を誘拐されるという状況はまだ出てきていない。

本好きの下剋上』はそれまで恋愛小説を執筆してきた著者が、他のジャンルへ挑戦しようとして執筆された。ありがちな王道異世界物として執筆され、 異世界の雰囲気が重視された。連載中は一日一話ずつ執筆され、小説家になろうに毎日投稿されるのが常態であった。

このアニメを見て思うのは、主人公マインの心中をイメージする力だと思う。簡単に言うと、コミュニケーション能力のことで、前世での経験から子供とは思えない交渉術、心理掌握術を持っている。悪用されることはなく、姉の想いを汲み取ったり、仕事仲間のベンノと商談でやりあったりと物語の中で上手く使われている。コミュ力って大事なんだなあと思う反面、コミュ力があって前世の知識があるとかなり良い生活をすることができて、現実世界でも同じことが言えるなと思った。現実でも同じでコミュニケーションがあるないで人生が大きく変わってしまう。

特に自分よりも立場が上の人と対等に話すことがとても大事で、普通なら中々できることではない。前世の知識それ自体がチートアイテムであり、情報は力なりというのが色濃く描写されている。仕事って、コミュ力が大事というが、取引先の担当者や自分の上司など、自分よりも立場がある人達とどのように話せるかがポイントだと感じた。劇中でもマインは大人相手に対等以上に立ち振る舞い、自分に都合の良いように状況を作り出していた。仕事は如何に自分にとって良い環境を作ることが大事で、それによって契約などを取ってこれたりする。

「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません」 DVD Vol.1

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  • 出版社/メーカー: フライングドッグ
  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: DVD
 

異世界を題材にしたアニメでは、珍しい舞台設定と主人公だと思う。病弱だが知識は持っているマインが状況を変えるためにどんどん行動する姿に毎回感動している。主人公は知識や技術、才能や能力を持っていて、異世界で無双するというのは僕の感じた異世界モノ。だた、本好きの下剋上』は知識を使って徐々に状況を変えていく様が面白く、感動してしまう作品になっている。派手な戦闘はないが、人と人とのやり取りに感動し、

  • 家族とは何か?
  • 仕事とは何か?
  • 価値とは何か?
  • 階級社会って何か?

をリアルに感じることができた。アニメでは中々ない作品だと思うし、見ていて損はない。中世の世界観がよく分かるし、もちろん創作の世界なので現実の歴史とは違うわけなのだが、一つ一つ考察できることがあったりする。特に、商人の世界にマインが飛び込んでからは、実際の仕事・ビジネスにも通じる所があって、納得してしまう。どこか昔のアニメを感じさせる作風にもなっていて、世代が越えて楽しむことができる作品である。アニメではすでに二期が決まっており、非常に楽しみである。自分らしい生き方を魅せてくれるマインの活躍によって、世界が開けていき、本来なら関わりのなかった人々が繋がっていく様は非常にワクワクさせる。