レーシングカー部品を作る『3Dプリンタ』-トポロジー最適化からの複雑形状が加工可能か
3Dプリンタに興味があったが、中々に興味深かった。3Dプリンタの現状についてまとめてみた。
トポロジー最適化 コスト面の兼ね合い重要
「トポロジー最適化」を使った設計。コスト面の兼ね合いがあり、採用する事業所の資金が重要。
タマチ工業(東京都品川区)は、2016年に独SLMソリューションズ製の金属積層造形機「SLM500HL」を西富士工場(静岡県富士宮市)に導入した。「トポロジー最適化」設計により、高強度で軽量な部品の造形を可能にする。
「トポロジー最適化」はどこまで進んでいるのだろうか。設計する時に、実現が難しい形状が出てくるらしく、そこから作業者の経験を使って修正していくことがよくある。ある意味で、自動的に最適な形状にしてくれるのは嬉しいと思う。ただ、コストとの兼ね合いもあって、資金が潤沢な事業所なら実現しやすいが、逆だと難しいと感じる。
従来の素材 今度は3Dプリンタか
従来のアルミやカーボンは軽くて強いのが特徴。加工機の普及として、3Dプリンタはありだ。
従来のアルミニウム材やカーボン材は軍需、航空機からレーシングカーという流れで普及したが金属3Dプリンターも同様だろう。鋳造にはできない複雑形状を製作でき、軽量化需要にも応えたい
アルミやカーボン材は軽くて、強度もあるから普及したと言われる。確かに鉄やステンレスよりは強度は落ちる場合もあると思うが、流体力学的に合理的な流線型にするためと質量、熱の観点から好まれたのだろう。材料とは違うが、加工機として3Dプリンタはこれから活躍すると思う。鋳造だと、かなり複雑な形状にしようとすると人的・材料的なコストが膨大になるので、3Dプリンタの登場はいいと感じる。
レーシングカーの実績 実測データが重要
学生のレーシングカーで実績あり。世界的なレースに出ている企業に採用されるには、これから数多くの設計とそれに関する実績が必要となる。
実際、車体に部品を搭載した例としては早稲田大学の学生フォーミュラーのレーシングカー。コンピューターで理論的に最適な形状を導き出すトポロジー最適化設計によりサスペンション部品を製作し、レースで完走を果たした。
実際に使用されているのなら、実験データを取れるし、完走したとなると、強度的にも問題は少ないように思う。レーシングカーは家庭用自動車よりも、メンテナンスする頻度が高いので、走行距離を少なく想定して設計することができる。とはいえ、解析もして、実験・解析双方向から検証して、実際に組み込む必要がある。まだ、軍需、航空機からレーシングカーに使うには、実測データ、それに構造設計、強度設計が必要に感じるが、確実に実績を出せば、それらを製作する企業に売れるのではないか。