人生のおつまみ

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映画『SHIROBAKO』感想-アニメ制作現場は過酷でだけど、達成感もあると思う。その後にどうしたら『君の名は。』みたいな歴史的ヒットを作れるのか?

アニメ映画の『SHIROBAKO』を観てきた。テレビシリーズはまだ観ていないけど、映画館で流れるCMで気になったので観てしまった。取引先の都合で元請けアニメが破綻してしまって、パッとしない仕事を続けていた制作会社に、とあるオリジナル映画制作の話が舞い込んでくるというもの。普段見る事ができない、アニメ制作の裏側を見れたのだけど、本当に過酷というか、好きだけだとやっていけない日常があるんだなと認識した。大手アニメメーカーほどの大きな力はなく、下請けとして1クールの内の1話だけ担当など、かなり苦しい状況になっているが開幕から分かる。

 

今の時代だと、無料、もしくは低価格でアニメを見れる時代なんだけど、その裏側には飛んでもない苦労とプレッシャー、ストレスがある。いや、あるゆる物事にも同じことが言えるんだけど、子供の頃から見て夢を売っているそーゆー業界の裏側は心に来る物があった。いや、本当はこのアニメよりも過酷でひどくて、しんどいはずなんだけど、マイルドになってさえ僕の精神に少しダメージを与えるというのは中々にしんどい。『君の名は。』を見て、アニメをまた観るようになったけど、理想とのギャップって中々苦しいよ。

 

とはいえ、アニメで『働く人間模様』を描くのは割と好きだ。実写ドラマだと恋愛要素が過剰だったり、夢物語すぎて現実感がなかったりするけど、アニメだと最初から空想の物語という前提があるから、かなり入り込める。主人公は五人の女性みたいとのことだけど、アニメ現場全員が主人公に見えたし、誰が主人公なの?は場面で決まると思う。アクション系のアニメが好きだけど、こーゆー、働く人間達を描写している姿は共感してしまうところもあったりする。大人になると、人間関係で苦労することが本当に多いから、アニメで少し癒されたいという想いもあるにはあるのだけど。

 

モノ作りで言えることがあって、納期とクオリティーというのは非常に大事。大学時代はしっかり勉強して、質がよいモノを作れば良い、技術力こそすべてと思っていたけど、働きだすと経済的な状況から、最低限と理想のギャップが大きくなって最初は苦しむようになった。お金と時間が無限ならいいのだけど、そんなのあるわけなくて、自分が時間内に出来ることをするしかない。芸術家みたいに何から何まで一人で作るみたいな状況が理想ではあるのだけど、それは著者な人にしか無理なわけで、チーム・会社で作っている以上、『妥協』というのはどうしても頭を過る。もっと根を詰めて考えたいが、時間がないから流用でいこうということはままある。要は、どこを捨てるかなんだけど、『良いモノ』の定義が難しいから大いに悩んでしまう。

 

機械でもアニメでも同じなことがあり、『何が売れるか・ヒットするか分からない』という点がまさにそれ。ソニーウォークマンがあれほど世界でヒットするとは事前に予想できた人はほんのわずかだろうし、アニメだと『君の名は。』か。前もってヒットを想定して作るのは難しい。世の中の流れと運の要素が強すぎると思う。広告とか打つとヒットさせる確率を上げることができるけど、歴史に残るヒットとなると口コミという運が必要になる。

 

まあ、アニメを作って、それをヒットに向かわせるのはアニメ制作会社というよりも配給元や広告代理店の仕事だと思う。どんなに満足できて質の高いアニメを作っても、世の中に見てもらえないと意味がなくなってしまう。経済的に苦しくなるから。アニメを作るまでが一仕事、それをヒットさせるのも一仕事。アニメアニメと言うけど、最新話はテレビは基本的に無料で観られるし、動画配信も無料or少額で観賞できる。その安い観賞料の中にはどんでもない人の想いと苦労が入っているということで、モノ作りは大変だと素直に感じた。

 

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