人生のおつまみ

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『舟を編む 三浦しをん』 の感想-辞書を作るプロ達。言葉を知っているのも大事だが、日常的に使いこなすことがもっと大事だと感じた。流行語大賞も関係あるかも。

辞書作り。僕は無知でその業界のことをまったく知らなかったけど、『言葉』を定義し、まとめ、辞書として作り出す。すごく尊いことで、しかしほとんどの人が知らない分野だと感じた。中学生か高校生の時には英語・国語の時間には必須である辞書。その辞書作りの一端を垣間みることができる非常に面白い世界だと思った。辞書作りのためには『言葉のプロ』になる必要がある。そのためには、日常的に言葉に敏感になる必要があるし、人とは違う視点で物事を見ないといけない。そう考えると、辞書作りの人も職人である。


何かのニュースで、とある大学の先生が言葉を定義するために、日々観察して、言葉のネタを集めているといったことを読んだ記憶がある。辞書は誰もが使うが、だからこそ間違いがあるといけない。そのために、日常的に使われている定義、昔からある定義などをしっかりと精査して、辞書に載せていく。言葉は生き物で、過去と現在では、使われている言葉自体が違っているように思う。ネット発祥の言葉とかまさにそうだし、何十年前の小説に書かれている言葉はもはや日常的に使われていることがなかったりする。生きている言葉を定義するというのはすごく難しいこと。


毎年、流行語大賞というものがあるが、言葉の影響力を感じる。そこから辞書に登録される言葉も出てくる可能性もあるわけで、まさに言葉は生き物。それらと相対する辞書作りのプロ達は本当に色んな言葉の意味を知って、日常的に言葉の疑問を解決できるようしていると思う。辞書で引く言葉の一つ々々は些細なことだが、作る・書くとなると話は別になる。本当にすごいなあと感じるが、仕事となると好き・得意以上に執念がないと作れない。国語力が落ちていると聞くが、案外辞書に掲載されている言葉から察することができるかもしれない。


言葉は日々生まれている。どう捉えるかがプロの仕事であり、それを上手く使うのが僕たちのやるべきことだと感じた。子供の頃から、辞書を使って勉強なり読書なりをしてきた。語彙力が高いかは分からないが、それなりに知っているつもりである。とはいえ、知っているのと使えるのとではわけが違う。僕たち辞書を使う立場は、言葉を知り、それらを日常的に使いこなすことが大事になる。まあ、毎日言葉を使っているが、そこまで思い入れがなかったのだけど、この小説を読んで、「言葉って大切だが、とても難しく大変」ということを感じた。何気ない言葉の中に深みってある。

舟を編む (光文社文庫)

 

舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

  • 作者:三浦 しをん
  • 発売日: 2015/03/12
  • メディア: ペーパーバック