人生のおつまみ

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三浦さん主演の『天外者』-五代友厚と時代を投影したすき焼き

公開された週に見てきました。記憶に残る映画かもしれませんが、僕の世代にはザックリ刺さる映画でした。偉人と言われる方の映画は、若い人よりも少しおちついた年齢の方が見た方がいいのかもしれない。現に、若い人は少なかったですから。会社経営とかそーゆービジネス的な要素よりも、五代友厚とは何を思っていたのかを考えさせられる映画だった。

[参考]:天外者 - Wikipedia

時代は激動の幕末から明治初期。若き日より日本の未来のために世界に目を向け、薩摩藩士として培われた武士の魂と明治政府役人を経て実業家として成功した手腕を存分に発揮し、「商都大阪」ひいては近代日本経済の基礎を構築した稀代の「天外者(てんがらもん)」・五代友厚の生きざまを描く。

印象に残るすき焼き

すき焼きが非常に印象に残った。五代と龍馬達が密談というか、議論する場はすき焼きを食べる小屋であり、そこで夢を語っていたのがすべての始まりになっているからだ。映画を見た帰りにすき焼き鍋やすき焼き弁当を買うぐらい記憶に刻み込まれた。すき焼きは江戸試合からの変化を象徴していると僕は思った。肉をたくさん食べて、西洋に追い越せ追い抜けといった感じだ。当時はまだ江戸時代の空気がありつつも海外の脅威が去っていないからこそ、若い五代や龍馬が夢を語れたのだと思う。そこに嘘はないが、苦難の道。それだけだったが、それがすべてであった。

誰もが自由に働けるための犠牲

結構くるものがあった。自由に働けるための犠牲というが、言うほど簡単ではない。五代は中盤辺から必至に伝えるようになる。とはいえ、犠牲になるのは一般大衆なのは目に見えているし、どうしたら達成できるかというのは非常に難しい。明治政府で働き、民間に行ったとしても五代を言う事を聞く人は少ないと思った。途中で家の権利書を担保に入れてまで、事業を興したい人を支援するというのは奥さんは溜まったものではないと思った。資産がなく、借金しかないままにこの世を去ったというのは立派だと思うけど、奥さんや子供からしたらすごく苦労してしまう。偉大なのだけど、実際に身近で付き合うとするとかなり難しいと思う。

非常に出来がいいパンプレット

パンフレットは非常に出来がいい。歴史年表が書かれてあってちょっとした歴史の勉強になる。映画を見た後に気づいたのだけど、パンフを買っている人が非常に多かった。そのせいか、1週間後ぐらいにはすでに売り切れだったのが衝撃的だった。まあ、色んな要素があるとは思う。若い人は少なく、グッズもハンプレットが売れていた。何気にパンフって高いけど、好きな映画、気に入った映画の内容をもっと詳しく知りたいなら是非買うべきだと僕は思う。映像だけでは補完しきれないことが多いから。

案外、いや非常に良かった西川さんの演技

西川さんの演技が非常に良かった。ミュージシャンで昔から好きな人。ガンダムのOPとか歌っていて、それで一段と好きになった。台風の季節が来ると、TMごっこをする人達に注意喚起したりと、話題になるネタが多い。若い頃みたいな、派手なMVは少なくなって落ち着いた感じだけど、滋賀を愛していて、フェスを開催したりと何かと忙しい人。今は観光大使的な仕事も増えたみたいだけど、まさか天外者の主要キャラで見る事はなろうとは……。結構重要な人で、明治から江戸にかけて生き残った人物で、全般的に見せ場が多いのが印象に残った。

熱意を感じる、薩摩弁の三浦さん

まあ、やはり五代を演じる三浦さんに関して言う必要があるだろう。恥ずかしながら、あまり三浦さんが出演している映画やドラマを見たことはないが、この映画は圧倒された。薩摩弁を駆使する序盤と終盤の展開は熱いし、髷を斬るシーンは真剣さが伝わってきた。全編を通して真摯な態度で時代と人々に向き合う姿が印象に残った。結構分かりやすい言葉だったけど、薩摩弁を現代風に分かりやすくしたのかな?映画的には正しかったように思う。このご時世だけど、いい映画を見れて良かったと思う。個人的には、やっぱりすき焼きの回が最高であり、段々とすき焼きの回に出てこないメンツを増える度に、『時代が変わってしまった』ということを実感させられた。

五代友厚 (河出文庫)