【感想・考察・まとめ】映画『君の名は。』ーなぜ興収200億円規模の作品に育ったのか
『君の名は。』を見てきました。もう5回目の鑑賞なんですが、観るたびに新しい発見があってとても楽しいです。こんなに映画にハマったのは初めてなので、何か自分で勝手に感動しています。本当に新海監督はじめ、スタッフの皆さんに感謝を言葉を言いたい想い。アニメの青春映画で適度に面白いのかなと思って観ましたけど、
- 入れ替わり
- 日本の民話・伝承
- ボーイ・ミーツ・ガール
- 隕石衝突
- 記憶
- 再会
のキーワードが散りばめられていて、何回観ても楽しめる作品になっています。主人公の瀧とヒロインの三葉もキャラがしっかり確立されていて、世界観がハッキリ分かるようになっているのがすごい。特に、『結び』の話を絡めて日本の昔話みたいな設定を作り、それが根幹になっているのが良いですね。単純な映画ではなくて、最初は青春の甘酸っぱい香りがするんですけど、後半一気にSF+ホラー+悲劇が起こり、まさに起承転結が出来ています。映像作品ではトップクラスであり、音楽もRADWIMPSの主題歌が印象に残って、『君の名は。』が出来たのはまさに奇跡とも言えます。映画を観た中で、こんなに何回も観たくなる映画は出会ったことがないので、僕もちょっとおかしいなと思っているぐらいです。
観た後に面白いと言える映画
『君の名は。』には色んな意見があって、設定の矛盾が指摘されたりしています。
- なぜ瀧が選ばれたのか?
- 3年のズレはいくらなんでもわかるだろう?
- 隕石の軌道から糸守に落下するのはあり得ない
- 三葉の父親はなぜ終盤で三葉の話を聞き入れたのか?
など、疑問点は確かにあります。いくつかの疑問は、外伝の小説を読むと分かるんですけど、それでも完全ではないです。でも、いいじゃないですか。観た後に「楽しかった〜。観て良かった〜」って思う映画が一番。こんな映画中々ないですよ?ただ単に良かった〜って思える映画は稀なんで。評論家なら仕事上批判する必要が出てきますけど、素人の僕たちが色々貶しても意味ないように思います。楽しいかった!ただそれだけでいいんじゃないかと思うんですけどね。何でも論理論理では、物語になりませんし、何より面白くない。エンターテイメントっみんなを楽しませるのが本質なので、論理で固めたら面白くない。ちょっとぐらい矛盾があった方が、妄想できて楽しい。最後に、『すべては宮水の神様』がすべて丸く収めてくれたという方が夢があります。僕としては、最後にハッピーエンドならそれで素晴らしいと思うんですけど。
公式には情報が満載
『君の名は。』の公式サイト。LINEスタンプへのリンクやツイッターへのリンクがあったりして、情報が満載です。劇場版オリジナルグッズの紹介などもあって、映画を観た後に覗くとすごく楽しめますよ。グッズで良いなあと思うのは、やっぱりブレスレット
瀧がしていた結びの紐ブレスレットになっています。アレンジが加えられていて、星のキーホルダーは、瀧と三葉をイメージしたものかな?公式サイトを見ていると情報などが入ってきて映画に観に行きたくなります。それにしても、映画のグッズってすごく多いですね。ポスターも多いですけど、コップとかスマホケースとかの実用的なものもあったりします。僕としては、3000円以上してもいいので、瀧と三葉がつけていた『組紐』を販売したらいいのになあと思ったりも。探したらあるのかもしれないけど、カップルの名前を刺繍できるなどのサービスがあると売れる気がします。
ひとでさんの感想はわかりやすい
はてなで有名なヒトデさんの感想記事。『君の名は。』の特色やQ&Aまであってわかりやすい紹介文になっています。特に、Q&Aは核心をついている質問もあったりして、観た後に読むと「なるほどなあ〜」と思うことも。漫画好きなヒトデさんだからこその紹介で、分かりやすいですよ。コメントもヒトデさんらしくて好感も持てます。観たことのない人で、ネタバレ上等!って人にお勧めかな。結構な長文で、魅力が存分に伝わってきます。ヒトデさんは前情報なしで観にいったらしいですけど、僕と同じですね。僕はテレビCMと映画のポスターは見たことはあったんですけど、まさかあれほどの作品になっているなんて……。字幕ありの劇場で観たというヒトデさん。それはそれで非常に興味があるんですけど、初回鑑賞が字幕だとちょっと違和感があるかもしれないです。RADが歌いだして、歌詞が出るのは確かにちょっと。2回目以降に見るのが良いのかもしれないですね。
ネタバレ満載の感想と考察
ネタバレ満載の感想と考察が書かれています。箇条書きですごく見やすいのが特徴的です。万葉集、隕石、宮水家、瀧と三葉の共通点などの考察は根拠があって納得しやすい。個人的には、
・物語上の「入れ替わりの力」は三葉さん側(巫女側)だけが持っている(瀧くん側には特に異能の力は必要ない)という設定で成立可能。これはパラドックスになるが、電車の中で出会った2013年の瀧くんに「組紐」を渡すことでマーキングが完了したと考えられる。瀧くんと三葉さんの双方で「赤い組紐」を持つことが「入れ替わり」の発動条件のひとつか。
パラドックスがありますけど、2013年に三葉が瀧に組紐を渡すことが一つの条件なのは僕も賛同してしまいます。瀧が入れ替わりとして選ばれたのは、3年前にすでに出会っていたから。運命の赤い色をイメージさせる赤い組紐こそがこの物語で一番大切なんですよね。瀧の最後の入れ替わりにも組紐が最後のキーアイテムとなっていました。三葉の記憶をたどる中で、組紐が三葉の記憶に繋がっていましたからね。
瀧と三葉の結婚はあるのか?
kininarukininaru.hatenadiary.jp
ファンが最も気になる、瀧と三葉の今後の話。瀧についての情報やツイッターでの反応が書かれてあって、瀧くんファンにはたまらないです。記事の終わりの方には、瀧と三葉の結婚の可能性について書かれていて、ツイッターの意見も取り入れて未来に希望が持てる話になっています。僕も結婚してほしいなと思う一人。小説を見ると、瀧・三葉、さらにまわりの人々について詳細に書かれていて、二人で惹かれ合ったのは、家族や友達のおかげなんだと再認識することができます。3歳差で、瀧22歳、三葉25歳なのが映画終盤の二人の年齢。姉さん女房だけど、我慢してここぞという時には引いてしまう三葉と、喧嘩早いけど誰よりも相手を思いやる瀧はいいカップルになりますよ。ツイートの二人が結婚して九葉くらいまで増える宮水一族というのが良い話だなと。ハッピーエンドのさらにハッピーエンドが見たくなるような作品、それが『君の名は。』
リアルな男女の関係を知っていると共感できないかも
【感想】映画「君の名は。」に抱いた違和感の正体【ネタバレ 考察】 - 圧倒的成長侍
『君の名は。』について違和感を持ったという記事です。距離感を感じるとのことで、作品中と現実の男女の関係は違うとは思います。現実にあんなにまっすぐに感情を発露できないですし、現実の関係ってもっとドロドロしたりしています。確かに、『君の名は。』の瀧と三葉の関係性は理想的で、現実離れしているなとは思います。
”ぼくがかんがえたさいこうのれんあいすとーりー”
という意見も分かるんですけどね。僕の場合は、若い頃を思い出して、あんな感じで全力でぶつかっていたなあとか、もっと真剣に考えれば良かったとちょっと後悔もするんですけど、心が若い頃に戻った気がします。特に10代の頃は今思うと子供だった。そんな風に心が若返る意味で今回の作品は評価されているのかなと。若い頃に恋愛したとか、逆に恋愛経験が乏しい故に、ものすごく美化されて共感されてしまう。そんな側面も持っているのがこの映画の持ち味。理想だからこそ、共感する人はものすごく共感してしまう。
『君の名は。』の考察は楽しそう
『君の名は。』を2回観たという、 みてらん (id:miteran) さん。考察が面白くて、言葉遊びの考え方は僕には新鮮でした。元々理系なんで、古典は忘れてしまったのですが、日本人が作ってきた言葉について色々考えてみると楽しいです。「かわたれどき」とか、瀧と三葉の関係を暗示していて、終盤にも大事なシーンとなる言葉。万葉集に関係あるそうですが、古典を知っているとさらに『君の名は。』を楽しむことができそうなので、ちょっと勉強してみようと思っています。
僕としては、
- テッシー
- ラーメン屋のおっちゃん
が気になりました。テッシーは三葉に対して恋愛よりも友情に近い感情ではないでしょうか?特に瀧と入れ替わった三葉に対してはより強く感じたはず。ラーメン屋のおっちゃんは隕石衝突まで糸守に住んでいたというだけで、瀧に情報を与えてくれる人物でそれ以上ではないと思ったんですけど……。三葉のお父さんの演説時に、ラーメン屋で使っていた車があったらしいので、割と関係ある人だったりするんですけどね。
日本文化へのリスペクトが『君の名は。』にはあった
「君の名は。」が大傑作になった一つの要因は、「新海監督が素晴らしいスタッフ」に恵まれたから、という意見には大賛成です。新海監督の作品を見ていると、作家性が強く、マニアには受けるけど大衆作品としては幅広い支持は得難いというのが僕の実感です。僕は共感できますけど、100点満点の恋愛をした人だとすごく物足りないのは事実。今回は、電車男などで有名なプロデューサー川村元気さん、RAD、スタジオジブリのスタッフなど奇跡的な人達が集まってできた作品。
さらにもう一つ、日本の文化へのリスペクトがあったんだと思います。リンクの記事にも書かれていますけど、口噛み酒、巫女、神社、伝承などまるで日本昔話の設定が次々出てきます。昔話に近い設定がありながらも、現代のスマホを介したコミュニケーション、さらに超常現象に立ち向かう二人の男女を上手く描いた結果が今回の大ヒットに繋がっていること。現代版おとぎ話に近い雰囲気があるからこそ何回でも見たくなる、リピート作品になっているのではないかと。