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【読書】「廻る素敵な隣人 杜奏みなや」ー恋と仕事とヒーローの話

 

素敵な小説。主人公と隣人の不思議で懐かしい関係から、恋、仕事、そしてヒーローとは何かを考えさせてくれる本となっています。人の縁は不思議なもので、出会ってしまう運命があります。現実にはあまりないことですが、小説だと運命的な力を描くことで出来て、とても惹かれます。読みやすい作品であり、京都弁がどこか優しい感じを出しているのがこの作品の魅力の一つ。とても辛い職場の話ですが、隣人のおかげで自分を取り戻していく。

 

恋愛話と思いきや、主人公目線で仕事の過酷さがあってギャップを感じました。お寿司やさんという小説のネタとしては珍しい舞台なんですけど、その場所ならではのお話があって、とっても面白く読むことができました。けれど、これは作者本人の体験談だとするとリアリティがあります。飲食業界のバイトは辛いと聞いたことがありますが、中学生が読むとビックリするかも。大人の世界って、仕事の世界って怖いですから。中学生の頃はSF小説を読んでいたので、当時読んでいたとしたら驚いただろうなと。

 

ヒーローは難しい。作品の中で主人公がヒーローになる場面があるのですけど、大人になるとヒーローになるのは非常に難しい。自分の生活だけで精一杯ですし、人のために人生や身体を使って助けるのは中々できないこと。小説だからこそ表現できることではあるんですけど、私も昔ヒーローに憧れたことがあるので気持ちは分かりますねえ。大人って目に見えないプレッシャーがありますから。

 

一つ思ったのは、作品の登場人物にクレーマーが多いということ。主人公の上司のクレーマーに思える態度で仕事をしているので、割としんどい感じはしました。物語の中で場面の転換点として、クレーマー気質のお客さんが出てくるのですが、主人公達の気持ちを考えると切ない。理不尽なことに対しても謝る必要が多い接客業なので、仕方ないとはいえ、切なくなってしまいます。自分が共感できる部分はやっぱり心が痛くなる。

 

逆に、作品の表紙はとっても可愛くて、特に隣人でヒロインの絵がとってもカワイイ。ボーッとしているようで、どこか芯を持っている女性なのですが、見事に表現されています。小説としては、ある伏線があるのですけど、結構早くに気づきます。まあ、恋と幼馴染みと言えば、瞬間的にストーリーは読めるんですけど、職場にリアリティがあって、社会人と学生だと読んだ後に感じることが違うかもしれません。

 

読みやすくて、スラスラ頭に入ってくる小説でした。お寿司屋さんという珍しい舞台なので、裏事情が分かったりして面白かったです。学生時代のバイトを思い出したりもして、社員とバイトの関係など、考えさせられることも多かったのも事実。大人向けでもありますけど、中高生、大学生もターゲットにしている作品だと思います。ヒロインに魅力があるので、やっぱりキャラクター性のある人物が出てくると物語が一気に面白くなります。その意味で楽しい小説です。