人生のおつまみ

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【読書・感想】『君は月夜に光り輝く 佐野徹夜』ー発光病に侵された女性 高校生の恋物語

はじめに

本屋さんでも大きく広告されていた小説。
大切な人を失った男子高校生と、
発光病と呼ばれる致死率の高い病気に侵された
女子高生の恋の物語。

全体的に優しい雰囲気なんですけど、
登場人物がどこか壊れていて、
普通でない行動をしたりしまう。

余命幾ばくもない女性の想いが痛々しい反面、
若い頃の純愛って理想的な素晴らしいなと思いました。

恋愛・青春小説で感動

高校時代の恋愛って純粋

高校時代の恋愛って純粋で良いと思いました。
大人になると、年収とか考えてしまいますけど、
高校生なら純粋に恋愛を楽しむことができますから。
もちろん、大人にも純愛ってあると思いますけど、
金銭的・精神的に余裕がないとしんどい。

子供の頃は、親がお金の面倒を見てくれたりします
大人になっても十分なお金があれば、
年収とか将来とか置いておくことができる。
ある意味で、純愛って贅沢なのかも。
ある程度の保証・安全があるからこそ。

 

恋愛小説がブーム

ただ、この小説のように、
不治の病と純愛というテーマの本ってたくさんあります。
15年ぐらい前には、いま会い』が流行ったように、
恋愛小説がブームになっていました。
その頃にも、病と純愛の本が売れていました。

この本の特徴はやっぱり、変わった登場人物でしょうね。
死を達観している主人公、
発光病で、どこか諦めているヒロイン、
人生をゲームのように考えている主人公の親友。

何にしても、高校生の恋愛ってピュアの一言。
小説と一部の現実だけの理想論で、
もっとドロドロしていてもおかしくないです。
小説なりマンガを読んで、理想論的な恋愛を妄想して、
現実の恋愛に悩む。この繰り返しのような気がしますね。

 

人間、人との出会いで変わる

主人公とヒロインの出会い

ヒロインのまみずが主人公と出会って変わったように、
人って出会いで変わると思います。
作中で、なげやりな生き方をしていたまみずが、
一生懸命に生きることに対して向き合うようになったのは、
主人公との出会いがきっかけ。

仕事や恋愛、趣味で色んな人で出会うことがありますが、
その出会いの中で楽しみ、
時に苦しい時を味わいながら人生を生きていく。
この作品はラブストーリーなんですけど、
出会いの中で変わっていく3人の子供と
1人の大人の生き方を綴っています。

 

中々小説のような出会いはできない

私も共感できる部分もあり、
かなり楽しみましたけど、
こんな出会いが出来る人って少ないと思います。

現状維持だったり、妥協だったりで、
そのまま人生を過ごしてしまう。
それでも良い人生は味わえるんですけどね。

 味気ない人生だけど、意外にたくさんの面白いこともある。
何気ない出会いが死ぬ前になると、
素晴らしいことだったと思えるような
そんな生き方って少し憧れます。
たった一人の出会いで変わることもあるということ。

 

健気な女の子と見捨てない男の子

行動し続ける勇気

ヒロインのまみずは、
発光病という不治の病を患っています。
医者はおろか、本人ですら諦めていて、
投げやりになっている中、
主人公の卓也はまみずの願いを必死で聞き入れようと、
行動し続けます。

卓也は浮世離れしていて、
生きることに対する考えが人とズレています。
いつの時代でも、世間から浮いた男の子が健気な女の子を救おうとする。
王道ですが、だからこそ、複雑な世の中では映えるだと思います。

 

人と密に過ごすのは難しい

ただ、人によっては卓也の考え方には疑問を持ったり、
まみずに対して「投げやりになるなよ!」と思うのは仕方のないこと。
小説とはいえ、当事者にならならいと分からないわけなんで。
大人になると、一人の人間と過ごす時間は多くは取れないですし。

 高校生や大学生でないと、
ここまで密に他人と過ごすのって難しいなと思う反面、
大人になってもそこまで想い合うことが出来たら最高だと感じました。
登場人物が子供であるからこそ、私達は共感して、感動するんでしょうね。

最後に

この作品は、活字媒体として読みやすくて、
主人公とヒロインの内面描写も見事でした。

10代の時のすれ違いも表現されていますし、
嫉妬の感情を上手く制御できない主人公や、
美しい初恋を大切にする主人公の親友も良かったと思います。
何より、ヒロインがとっても優しくて、
エピローグの話も泣けました。

さすが評判になっているだけのことはあります。