Naotoの日記

読書・ニュース系の簡単なコラム

ゴールデンスランバーを思い出すぐらい伊坂イズムがたっぷりー『キャプテン・サンダーボルト』を読んで

 本屋で平積みしていたので気になった作品でした。私の好きな伊坂さんの作品でもあり、阿部和重との合作でもあります。逃亡劇と戦隊ヒーローがテーマなのですけど、色んなキーワードが散りばめられていて、読んでいた楽しかった。主人公サイド・追ってサイド・国家サイドの動きがすごくて、終盤の展開には非常にビックリしました。読んでいて、何となく伊坂さんが書かれたものかな?と思われる部分もあったのですが、明確には分かりませんでした。伊坂作品によく出てくる地名の仙台も出てきて、楽天イーグルスの名前まで出てくるので、楽天ファンでも楽しめる。丁度優勝したシーズンの話ですから。

ゴールデンスランバーに似た躍動感

 伊坂さんの『ゴールデンスランバー』に似た状況で物語は進んでいきます。といっても、完全な巻込まれではなくて、主人公の一人はちょっと危ないことをしようとした結果なのですが。その相棒はまったくの無関係ですが、子供の事で無理矢理参加していきます。ゴールデンスランバーのように、邪魔な人間は抹殺していく悪魔のようなキャラも出てくるので、かなりハラハラドキドキしていきますよ。主人公サイドには、戦闘能力に特化した人はいないのですが、野球の経験を活かして事態を収束させていきます。相棒二人で事件を解決していくのは、水谷豊さんの『相棒』を少し思い出しました。

 

合作とは思えない一体感

 伊坂さんと阿部さんの合作とは思えない作品になっています。伊坂さんの作品と言われても違和感がまったくありません。ですが、伊坂さんにはない文体も所々あって、それを見つけるのが面白かった。登場人物の一人の『相葉』は伊坂作品に登場するキャラだと思うのですけど、もう一人の『井ノ原』は阿部さんのキャラなんじゃないかと思いました。相葉は戦隊ヒーローで言う所のブルーで、井ノ原は冷静なグリーンと言った所。子供が憧れるヒーリー像ではないのですけど、それがこの二人の魅力となっています。戦隊ヒーローも一つのテーマで、この二人との対比となっています。

 

子供のために命をかける父親

 相棒の一人の『井ノ原』は子供の病気を治すために、命を懸けます。お金が必要だから、相葉の提案に乗るのですけど、子供のために頑張る父親像って何だかいいなあと思いました。子供は謎の病気で、借金しても中々良くならないのですが、私も子供の頃に病気がちだったので、何だか親のことを思い出しました。劇中で、「子供はいい」みたいな台詞があるんですけど、シンプルだけど良い言葉。家族のために全力で戦う主人公は共感できます。井ノ原は冷静なんですけど、お金のために危ないスパイみたいなこともやっているのは、賛否ありそうです。

 

幼馴染みの相棒って良いなあ

 相棒同士、小学生時代からの付き合いというのは何かいいと思います。見知らぬ二人だと、信頼が生まれるまでのストーリーが必要ですし、何よりも裏切りの可能性があるので、読んでいて、バッドエンドがあるのではないかと疑ってしまいますから。二人とも、相手に後ろめたいことが少しあって、それが終盤解消されるシーンは王道ですけど、安心感がありました。ドラマの『相棒』のように警察を舞台にした物語なら、見知らぬ二人でも物語はできますけど、一般人だと何か共通点がないと中々協力的にはなりません。だから、幼馴染みというのは戦隊ヒーロー的にも面白かった。

 

相葉は伊坂さんのキャラクター?

 主人公の一人の相葉は、伊坂作品のキャラが濃かったです。真面目に働いていないのですけど、母親や実家のことを考えていたり、後輩を救おうと思ったりしたりと、根は善人。ヒーローのブルー的な役割に回ることが多いのですが、やっていることは滅茶苦茶で、まわりからは慕われるけど、社会に出ると距離を置かれそうなそんな人物像。中盤あたりで、ある女性と仲が悪くなるんですけど、案の定、ラストに付き合うので、女性からしたら魅力ある人間だと思います。伊坂作品に登場するキャラのような台詞を話したりするので、私はこのキャラは伊坂キャラだとは思うんですけどね。

 

まとめ

 戦隊ヒーローがテーマの作品で、二人の相棒の活躍劇がとても面白かったです。考え方が普通ではないけど、根は善人の相葉と、子供のために頑張るあたり、スパイのような行動をする井ノ原は良いコンビだと思います。元々幼馴染みで、その逃亡劇が読んでいてドキドキするも、楽しかった。私は気づきませんでしたが、二人の名前って、あるアイドルグループの人達の名前なんですよね。井ノ原の子供の名前は『健剛』ですし、アイドル好きなら一発で分かったかも。ドラマ化は残酷なシーンがあるため難しいでしょうけど、続編とか外伝は見てみたい。でも、物語的には収束してしまっていますし、合作になっているので実現の可能性は低いかもしれません。