人生のおつまみ

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『ケムリクサ』を観て

 ケムリクサが面白かった。序盤は中々盛り上がりに欠けたけど、初めてのたつき作品で、キャラが可愛いから観てた。終わってみると、話の構成、伏線のはり方が非常に上手く、11話でピークに持っていくあたり狙っているなあと感じた。3Dキャラも可愛いから、廃墟というダークな雰囲気にも関わらず、テンポの良い明るい雰囲気があった。完全オリジナルアニメだけど、円盤はかなり売れたようで、1巻だけで約15000枚売れているから、会社としてはかなり潤っているんじゃないかなあと思う。これがたつき監督の魅力かあと思いながらも、ツイッターを見るとスタッフ間もいい雰囲気に見えたし、小規模だからこそできる、ハイクオリティ作品かと感じたりもした。ひさしぶりに面白い作品だったし、ネットでは考察がかなり広く展開されていて、アニメの新しい形を見た。作品の作品は1話で切られることが多いから、ストーリーは二の次というのもあるけど、ストーリーに重点を置いているからこそ、人気が出ているんじゃないかと思う。このヒットを見て、大手の企業が絡むのはいいけど、それはそれで違う作品になってしまうそうなので、小規模ながらの強味を活かして、『第二のケムリクサ』を作ってほしいなと思う。

 ケムリクサと言えば、けものフレンズが例に上がる。1期はたつき監督で、2期から監督が変わるということで、ネットでかなり議論が繰り広げられていた。想像以上にけものフレンズがヒットしたことで、関係している人達の想いがぶつかった証拠に感じるが、詳しいことは分からない。ファンとしては、失望している人が多く、「もう、たつき監督のけものフレンズ」が見れないという意見をちらほら見た。2期からアニメ監督が変わるということはよくあることだが、「監督、脚本、シリーズ構成、コンテ、演出」とかなりの要素をつとめていただけに、アニメ方向性自体が大きく変わることが予想された。現に、けものフレンズ2期は1期とは別物であり、伏線回収の微妙さ、キャラの性格の変化、シナリオの方向性の違いなどから酷評されてしまった。円盤の売り上げも下がってしまい、一体だれが得をするのかという疑問まで頭の中に浮かんでしまった。一つの優良コンテンツが潰れるという状況をまざまざと見せつけれてしまった形になってしまった。アニメは好きだけど、場外乱闘的な話題は好きではないが、SNSの発達によってファンの目にとまってしまうのはどうだろうか。ファンとしては心が痛い。

 キャラの行動や背景にキッチリと伏線を張って、それを回収してくれるというのは、どこからミステリ小説をイメージする。ミステリ小説が好きなのだが、好きな理由は、しっかりと伏線回収をやってくれる部分である。ストーリーの基本ではあるけど、1クール12or13話と言う中で、起承転結でまとめるのは難しいと思う。売れる作品にするために、ストーリーよりもキャラを優先することもある。ケムリクサの場合は、10話でしっかりと伏線をはって、11話以降で回収するという構成なのだが、綿密にはった伏線が見事だった。考察しがいもあり、視聴後にも色々と考えることができた。集中して視聴できる作品って貴重で、多様な可能性を考えることができるというのはこの作品の特徴に思う。面白い作品を作るというのは、作り手の一つの目標なんだけど、社会的にはお金の面も気にしないといけないから難しい。たつき監督関連のけものフレンズでゴタゴタ確かにあった。ただ、完全オリジナルで結果を出したので、これからはアニメブランドの一つとして作品を作り出していくだろう。同じクールにけものフレンズ2が放送されていたのは、偶然か皮肉か。小説や映画でもそうだけど、作品を考えて観るというのは非常に楽しい。

ケムリクサ 1巻[上巻] [Blu-ray]

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