人生のおつまみ

好きなことを基本的にはコラム形式で書いています。スポーツ、アニメ、書籍、産業をネタにしています。

簡単な本を読むなというのは傲慢では

本を読んでいると、「読みやすい本」が増えているなあという実感がある。小説とライトノベルとの中間みたいな作品が増えて、本を普段読まない人でも読みやすそうな作品が平積みされていることが多い。

 

娯楽が非常に多い世の中で読書という行為は中々にハードルが高い。活字を読むことに慣れていないと、途中で飽きてしまう。子供の頃も僕がまさにこの傾向が顕著だった。活字を読むきっかけになったのは、大学の勉強の気晴らしに読んだミステリが思いの他面白かったから。

 

実際に読書好きだとしても、仕事をしているとストレス発散の手段として読書を嗜むことになる。それは、感情移入できる物語を読むことになるので、難解な作品は読むのはしんどくなっていく。現代の本というのは、娯楽の側面が強いために、売れるのは自然とベストセラーになっていく。

 

専門書や古典などの難しい本(ほぼ活字ばかりの本)を読んでいると、理解するのに時間が掛かる。大学生の頃には、数学とか物理の専門書を読んでいたけど、2ページを理解するのに10時間ぐらいかけても理解できなかった。大学のレポートのために真剣に読んでいたけど、本当に理解できない部分が多かった。問題は解けるけど、本質が分からない、そーゆー状況だった。ただ、何年か経つとそれが不意に頭に浮かんで、理解できるようになってきた。様々な勉強をしていたおかげで、脳みその中で知識が繋がっていったのだ。

 

読み難い本は、理解するのに時間が掛かる。それこそ数年単位だ。そうなると、売るのは難しい。出生や単位取得などのプレッシャーのかかった状況でないと読もうとする気にもならない。ある程度の知識がないと理解できないから、つまらないという印象になってしまう。

 

本をしては、次のように分類できて、

  1. 娯楽として楽しむための本
  2. 知識吸収するための本
  3. 思考力を高める本

となるんだけど、知識が増えると難しい本も楽しめることになるので、互いに関連している。知識が増えて、読めなかった本が読めるようになる経験があると違うのだけど、中々そこまで読書を続けることは難しいから、結局、読みやすい本が売れているのだと思う。

 

読書の価値 (NHK出版新書 547)

読書の価値 (NHK出版新書 547)

  • 作者:森 博嗣
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 新書
 

 

別に読みやすい本を読むなということではない。僕もライトノベル風の小説を何冊も読むし、読んで楽しい。ビジネス書も同意できたり、突っ込みがある部分があったりして、これも読んでいて楽しい。ただ、専門書なども「歯ごたえあるなあ」と思いながら、あれこれ考えながら読めるので非常に楽しい。

 

読書自体は楽しいのだけど、それは学生の頃から、徐々に段階を踏んで本を読んできたからこそ言えるわけで、読みやすい本を読むなと言っても、それは傲慢かもしれない。