人生のおつまみ

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元鬼滅の刃の読み切り「過狩り狩り」 吾峠先生の才能と編集者の力

[参考]:鬼滅の刃の元となった読み切り「過狩り狩り」を読んで改めて知る吾峠先生の才能と編集部の慧眼 - Togetter

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短編集を見ると、鬼滅のプロトタイプとも言える作品が掲載されている。「過狩り狩り」である。珠世さんも無惨様プロトタイプもいて、鬼滅を知っていると、すごく楽しく読めてしまう。主人公は盲目隻腕の剣士なのだけど、ニュースか何かでサブキャラである炭治郎の方がジャンプ向きということで、主人公が変わったとか。確かに、ジャンプ系としては人気が出難いと思う。アフタヌーン受けの印象を受けるし、どこか大人向けの印象がある。長期連載するには難しい設定だし、ジャンプマンガとして人気を得るには、炭治郎のようなキャラが必要なように感じる。特に、プロトタイプ無惨様は中ボスの風格で、本家無惨様の方が、憎まれるし人間くさいから、人気が出るのは後者である。完全な人間離れした性格の悪役よりは、憎まれるけどどこか愛されるような人間くさいボスの方が人気が出やすいからだ。結局のところ、「過狩り狩り」は面白く、吾峠先生の才能を感じさせるけど、ジャンプマンガとして人気を出すには、編集者の力が必要になってくるというわけだ。大ブレイクの背景には、作者と編集者がタッグを組んで、しっかりとしたストーリーが必要になってくる。

 

鬼滅の映画を見ると、如何にストーリーが大事かが分かってくる。煉獄のカッコよさに目が行ってしまうが、無限列車編序盤の「何かヤバくない」みたいな雰囲気からの炎の呼吸での頼りがいのある兄貴、そして猗窩座戦での親子の絆と弱者・強者の考え方がすごく脳内に入り込んでくる。煉獄は車内で「うまい!うまい!」と大声で弁当の感想を言っていたが、他人から見ると普通にヤバい人に見えるのだけど、強さ・背景・考え方が映画全編を通して伝わってくるので、ヤバさがかなり消え去っている。キャラクターはギャップが大事というが、如何に僕たち視聴者・読者に分からせてくれるキャラクター像にしてくれるかがポイントと言える。煉獄も戦ってただ強い人だと意味不明な人で終わるけど、炭治郎の兄貴・師匠としてのポジションが戦いを通して伝わってくるからこそ、炎柱としての魅力になっているわけだ。そこに至るまでには吾峠先生と編集者が一緒になって考えがあったはずで、作者が考え出した構成とキャラを如何に編集者がまとめるかが大事になってくる。そう考えると、編集者ってすごく大変な仕事であって、プレッシャーもすごいだろう。だからこそ、作者と共に編集者の人も褒めるべきなんじゃないかと思う。

吾峠呼世晴短編集 (ジャンプコミックスDIGITAL)